小笠原道大は新天地で輝きを取り戻すことができるのか?

一時期調子を取り戻していた小笠原だが…

ogasawara
小笠原道大の年度別成績

 巨人からFA宣言した小笠原道大内野手(40)の中日入りが決まった。1年契約で年俸は3000万円。巨人での最高年俸が推定4億3000万円だったことを考えると、ピーク時からは4億円も減額となった計算になる。だが、ユニホームを脱ぐ選択肢は本人にはなく、「やれる自信がなければFA宣言はしていない」と現役でプレーを続行することを選んだ。落合博満・中日GM(59)から「戦力」として請われ、中日入りを決断。ただ、この2年間はわずか56試合の出場にとどまり、今年は22試合でヒット9本と実戦から遠ざかっている。40歳のベテランは、果たして輝きを取り戻すことができるのだろうか。

 今年の小笠原はプロ初の2軍スタートだった。最初の試合は5月18日、東京ドームでの西武戦。代打で登場し、空振り三振に倒れた。だが、原監督はその後も勝負所で代打として起用。6月5日の東京ドームでの日本ハム戦ではサヨナラ3ランを放ち、復活を予感させた。2年ぶりのホームランで久しぶりのお立ち台に上がると、「すごい歓声?思い出しました」と絶叫し、ファンを沸かせた。

 代打ながら打率は一時、3割6分4厘まで上がり、一打席での勝負強さを見せ始めた。時を同じくして、巨人の正一塁手のロペスが脇腹を痛めて離脱。そして6月25日、敵地での広島戦で今季初めてファーストでのスタメン出場を勝ち取った。

 だが、後から考えるとこれがラストチャンスだった。結果は2試合連続の3打数無安打。代打でヒットを打ってきた時と比べて、「打ち急いで打撃フォームを崩していた」とある球団スコアラーは分析している。2000本安打を打った名打者でも、結果を残さなくてはいけないという焦燥感から、打撃に微妙なズレが生まれていた。この広島での3連戦を最後に、小笠原は1軍から姿を消し、それ以降、戻ることはなかった。

 当時はチャンスを与えられた期間が短かった。そのまま起用されていれば、試合勘を取り戻していたかもしれない。だが、チーム事情がそれを許さなかった。巨人は小笠原やアレックス・ラミレス、谷佳知といった2007年から2009年のセ・リーグ3連覇に貢献した選手たちへの依存体質から脱却しようとしていた。そうしなければ、若い選手は育たず、チームは未来へと進まない。ここで小笠原に頼り、復調を待つという選択肢はなかった。その後、小笠原と入れ替わるように、谷が1軍に初昇格して勝利に貢献したが、たった13試合で降格している。その谷も日本シリーズまで声はかからず、結局、退団した。すでにラミレスは2011年シーズンを最後に横浜DeNAに移籍しており、3連覇の立役者となった彼ら3人はもう来年の巨人には残っていない。

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