楽天に入団する若者の胸を打たれる秘話 内田靖人が背負うものとは

何としても早くプロになりたかった

 内田靖人(18)は、誰にも負けない強いハートで、高校球界屈指のバッターになった。通算本塁打は37本。常総学院(茨城)の一員として出場した今年の夏の甲子園では2本塁打を放った。キャッチャーとしても、座ったまま二塁へ投げる強肩を披露。そして今秋にはドラフト2位で楽天への入団が決定した。内田はゴールデンルーキーと言われたドラフト1位の桐光学園・松井裕樹と2人で闘将・星野監督を挟む形で、入団会見に臨んだ。

「1日でも早く1軍でプレーできるように頑張りたいと思います」

 控えめにそう抱負を語った。背番号は「8」に決定。高卒ルーキーが一桁番号を手にするということはそれだけ将来性を買われている証拠であり、星野監督からも「期待している」と声をかけられている。サードも守れる強肩強打の選手で、守備位置はキャンプに入ってから決定する見通しだ。松井が将来のエース候補ならば、内田は間違いなく将来の4番候補である。

 その高校3年生が背中に背負うものは8番だけではない。内田はバットで幸せにしたい人がいる。母の敬子さんだ。

「僕は、母に恩返しをしたい。母の存在が、プロへ行くんだという意識を強くしてくれたんです」

 小学校5年生の時、父を亡くした。それからというもの、女手一つで姉と自分を育ててくれた母への感謝を持ち続けてきた。母は大半の公式戦に駆けつけ、応援してくれた。大きな体を作るために、たくさんの料理も作って食べさせてくれた。働くこと、お金を稼ぐことの意味は、子供ながらに分かっていた。「大変な思いをさせてしまった。だから、恩返しがしたい」。そう振り返る内田は、だから、何としても早くプロになりたかった。

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