侍ジャパン監督も注目 ソフトバンク・柳田悠岐にかけられる期待

小久保裕紀氏から大きな期待を掛けられている柳田

 大先輩との約束は果たせなかった。それでも、そのスイングスピード、振り抜く力、打感、打球の飛距離は大きな可能性を感じさせる。背番号44、25歳の左の強打者、柳田悠岐外野手である。広島商業高から広島経済大を経て、2010年のドラフト2位で入団。3年目を迎えた今年は自己最多の104試合、298打数88安打、2割9分5厘、11本塁打、41打点。安打数も本塁打も自己最多だった。今月11日に契約更改交渉を行い、1400万円増の3200万円(推定)でサインをした。

 飛躍を願っていたのは、ファンだけではない。昨年で現役を引退し、侍ジャパンの監督となった小久保裕紀氏はソフトバンク最終年に「俺の後のクリーンナップを打てるのは柳田」との言葉を残した。それだけ期待をしていた。翌年20本塁打を打つことを約束させ、当時「キャプテン賞」としてポケットマネーでプレゼントを渡している。「20本打てなかったら返すように」と命じていた。しかし、その数字には今年9本届かなかった。

 ただ、日本代表の監督の目は間違ってはいないだろう。昨年、現役を引退する前のことだった。小久保氏は今宮健太内野手(22)と柳田を食事に誘い、今後のことについて話をしたという。お前らがチームを引っ張っていけ、という激励がその席でされた。2人は大先輩からのメッセージに頷き、思いを強くした。4番に座り続けた小久保から誇り高きホークスの系譜はこの時、次の世代へ受け継がれたのだった。

 その今宮は今年、ショートのレギュラーを獲得。「このポジションは誰にも渡さない」と強い気持ちで守り抜き、なんとゴールデングラブ賞を獲得するほど成長した。リーグ記録の62犠打もマーク。2番に定着し、8月は月間打率3割6分2厘も記録している。小久保氏の熱い思いによって本人の中で自覚が芽生え、チームに欠かせない存在となった。

 今度は柳田が覚醒する番である。身体能力も高い。体も大きい。ファームでは敵なし。今年は経験を積むことができた。打者は投手との対戦が増えれば増えるほど、情報が入り、攻略する確率が増えてくる。ソフトバンクの主砲として、4年目の来年こそ、開花することを期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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