マー君残留で最も得をするのはレッドソックス!? 再来年は上原と豪華リレーの可能性も

レッドソックスが得をする3つの理由

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米報道から見る田中獲得へのメジャー球団の本気度と今季成績

 この状況を踏まえた上で、プロビデンス・ジャーナルは、田中の楽天残留でレッドソックスが得をする3つの理由を挙げている。

 1つ目は単純だ。田中獲得を最優先事項とする宿敵のヤンキースが、来季構想の大幅な軌道修正を余儀なくされるからだ。ヤンキースの先発投手不足は深刻だが、計算に入れていた右腕を補強できないとなると、予想よりも戦力がダウンする。2年連続の地区制覇を狙う上で、ライバルの“弱体化”は大歓迎と言える。

 2つ目は、今オフのマーケットにエース級の先発投手がいなくなること。田中を除いてしまうと、市場にはウルバロ・ヒメネス、マット・ガーザ、アービン・サンタナなどしか残らない。ヤンキースを始めとする先発不足の他球団が、補強に苦しむことは間違いない。しかも、田中が来ないことで、これらの選手の価値が跳ね上がり、費用がかさむことになる。さらには、レッドソックスとの契約が来季限りとなっているデンプスター、ピービー、ラッキーの市場価値も上がる。誰か1人をトレードに出しても戦力的には問題なく、レッドソックスが代わりに大物選手を獲得できる可能性が出てくる。

 3つ目は、レッドソックスも田中獲得に動けるようになることだ。たとえ今季のメジャー挑戦をあきらめても、田中がFAになるまでにはあと2年ある。来オフまでポスティングを利用することは可能だ。楽天としては、ただで右腕を手放すことはしたくないだけに、1年後には間違いなくメジャー挑戦を認めるだろう。そうなれば、来年こそはレッドソックスも入札に参加するという。前述の3人がFAとなるため、来オフは現在と状況が大きく変わり、先発投手の補強が必須となるからだ。大金を投じて右腕を獲得する意味は大いにある。

 田中のメジャー挑戦が来オフに持ち越されれば、資金力豊富なレッドソックスは、ヤンキース、ドジャースらに並んで、獲得の最有力候補の1つとなる。さらに、FA権取得が2016年オフとなる田澤純一が在籍していることは確実で、契約を1年残す上原も活躍を続ければ残留オファーが届くだろう。ロッテを自由契約となり、レッドソックスとマイナー契約を結んだ渡辺俊介が成功を収め、ブルペンで貴重な役割を担っている可能性もある。

 田中が先発し、渡辺、田澤がつないで、上原が締める。ボストンで夢のような日本人リレーが実現することはあるのか。田中と楽天が下す決断を最も気にしているのは、実はレッドソックスかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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