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マー君、マエケンが利用する新ポスティングシステムの仕組みってどんなもの?

選手側にはメリットの多い制度

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過去にポスティングシステムで落札された主な選手

 一方で、選手側にはメリットが多い。まずは、以前の制度では最高額を入札した1球団としか交渉できなかったが、今回は複数球団と接触できる。初めは異議を唱えた日本の選手会が、一転して新制度を高く評価したのが、この部分だ。契約内容だけでなく、気候や住環境、球団施設、チームメート、チームの伝統、ファンなど、選択するための要素は数え切れない。メジャー球団としても、譲渡金を支払う意思があれば交渉のテーブルに着き、その球団ならではのアピールポイントを説明できるだけに、チャンスは格段に広がったと言えるだろう。

 ただ、球団の権利であるポスティングが、選手の権利であるフリーエージェント(FA)とほぼ変わらないものになってしまったことには、疑問の声が上がっている。また、結局は契約で大金を積める球団が有利であり、旧制度に反発していたメジャーの中小球団に必ずしもプラスにならないとする考えもある。どのような作用があるかは、実際に利用する選手が出てからでないと、読みづらい。1つだけ言えるのは、田中のような大物選手を抱える旧所属球団には厳しい制度になったということか。

 さて、新制度を利用することになった場合、どのような手続きが必要なのか。もし田中が楽天からメジャー挑戦を容認された場合、スケジュールは非常にせわしくなるだろう。

 交渉期間は30日間で、一部報道のように15球団以上が手を挙げれば、極めてタイトなタイムテーブルが必要だ。あらかじめ条件提示だけをして、希望と大きくかけ離れた球団は、交渉までたどり着けないというケースも考えられる。移籍先を固めてからは、その球団と集中的に交渉し、契約の細部まで詰めて合意に至る必要があるからだ。落札球団だけに1か月の交渉権が与えられた旧制度でも、レンジャーズとダルビッシュの契約が期限の3分前まで合意に至らなかった例があり、田中がある程度の希望を持っているならば、一部の球団に絞って交渉を進めていくことも考えられる。

 もちろん、これは田中クラスの人気者だからこそ予想される事態だ。他の選手であれば、旧所属球団は譲渡金額を慎重に決める必要がある。強気な設定をして、支払う意思のあるメジャー球団が現れなければ、交渉まで発展しないことだってありえるだろう。その点で、税制上の問題で一時は絶望視されていた譲渡金の分割払いが可能となったことは大きい。田中のように獲得に大金が必要な場合に中小球団にプラスに働くだけでなく、多少、譲渡金が高いと感じても、分割なら払ってもいいと考えるメジャー球団が現れる可能性もあるからだ。

 新制度の期間は3年。つまり、来オフ以降のメジャー挑戦を表明したマエケンも、これを利用することになる。現状では、上限の2000万ドルでも獲りたいという球団は多いと予想される。ただ、来季、メジャーで日本人投手がことごとく不調に終わった場合や、田中の渡米も来年にずれ込んだ場合は、価値が変動するかもしれない。そこで分割払いが有効になる可能性もあるだろう。また、どのチームでもエース級と評価されている田中と違い、前田の場合は先発ローテのメンバーなどを見て、慎重に球団を選ぶかもしれない。FAで渡米した岩隈久志(マリナーズ)のように、確実に活躍できるチームを選び、中小球団に移籍するのも1つの手だからだ。

 新制度となったことで、新たなドラマは生まれるのか。そして、田中は利用第1号となれるのか。まずは状況を見守ってみたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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