2014年のメジャーはキューバ旋風の予感

キューバ人の活躍が目立った2013年

 2013年のメジャーリーグは、何と言ってもレッドソックスの劇的なワールドシリーズ制覇、無敵とまで言われた守護神・上原浩治、そして強打者との対決を次々と制した田沢純一の活躍が記憶に新しいところだろう。また、ダルビッシュ有(レンジャーズ)と岩隈久志(マリナーズ)がサイ・ヤング賞争いで三傑入りしたり、イチロー(ヤンキース)が日米通算4000安打を達成したり、日本人選手にまつわる華やかなニュースが多い一年でもあった。

 その一方で、昨季はキューバ人の活躍が目覚ましかった一年でもある。その筆頭が、ナ・リーグ新人王に選ばれたマーリンズのホセ・フェルナンデスだろう。28試合で先発し、12勝6敗、防御率2.19の堂々たる成績。弱冠21歳だが、マウンド上での存在感は圧倒的なものがあった。

 2011年ドラフトで全体14位で指名され、1Aを一年経験しただけでメジャーデビューを果たすという異例の飛び級。当然ながら、この抜擢に異を唱える人物も多かったが、投球内容と結果で周囲の声をねじ伏せた。

 そのフェルナンデスと新人王の座を争ったのが、同郷の野生児ヤシエル・プイグ(ドジャース)だ。2Aで開幕を迎えるも、6月にメジャー昇格。まるで猛牛のようにパワフルでダイナミックなプレーで、一気にロサンゼルスのファンを虜にした。

 いつでも全力プレー。時には荒削りなプレーで下手を打つこともあるが、地区最下位に沈んでいたドジャースが地区優勝を飾る復活劇を演じたのも、プイグという着火剤が投入されたからだろう。憎らしいまでに闘志をむき出しにした顔つきや全身から発せられるオーラは、スーパースターそのもの。鼻っ柱の強さと大きな自信が暴走しなければ、世代を代表する選手になる可能性は十分だ。

 オールスター本塁打競争で優勝したヨエニス・セスペデスを擁するアスレチックス、ナ・リーグ3位の38セーブを挙げたアロルディス・チャップマンを守護神とするレッズをはじめ、キューバ人選手を核に据えるチームも多い。開幕時に25人枠入りした選手数は、ドミニカ共和国、ベネズエラ、カナダに次ぐ4位(15人)で、1995年以来最多となった。

 昨年9月、キューバ共産党機関誌は、スポーツ選手の海外プロ活動を容認する方針を報じた。アメリカはキューバとの商取引が禁止されているため、これまでどおり、メジャーでプレーするためには亡命という形を取らなければならないが、以前よりも亡命がしやすい環境になるだろう。ドジャースと契約したアレクサンダー・ゲレロら、昨年だけでもキューバから少なくとも10選手がメジャーを目指して亡命している。すでにマイナーリーグでプレーしている選手も含め、2014年はさらなるキューバ旋風を期待してもよさそうだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

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