DeNAの新背番号「3」 梶谷隆幸は昨季なぜブレイクできたのか

少し下から“かち上げる”感覚

 昨季5位と8年連続Bクラスに沈んだDeNAにおいて、収穫の一つに梶谷隆幸(25)の活躍が挙げられる。シーズン中に3度の2軍降格も経験したが、8月には月間31得点の球団新記録をマークするなど打撃の面で大きな進化を見せた。

 一昨年は80試合で1割7分9厘、11打点、2本塁打だったが、昨年は77試合で3割4分6厘、44打点、16本塁打と飛躍的に成績を伸ばした。オフの契約更改では背番号が「63」から「3」に変更となるなど、球団側の期待も高まっている。

 梶谷はなぜここまでブレイクできたのか。様々な見方がある中で、元DeNAコーチの髙木由一氏はスイングの軌道の変化を理由の一つに挙げる。

「梶谷にどうして良くなったのかを聞いたら、少し下からかち上げるような感覚にしたと話していた。今までは足が速くて内野安打も打てるというので『上から打て』と言われていたのを修正したようです。上から叩こうとすると左肩が早く出るんですよ。それを普通にかち上げくらいの感じでいけば左肩が出ないので、ボールを引き付けて打てるようになる。そういう面も大きかったんでしょうね。もともとリストの強さはありましたから、今のスイング軌道がちょうど自分のスイングに合って長距離も打てたのだと思います」

 同球団での26年の指導者人生の中で数々の名バッターを手掛けてきた髙木氏にも、その成長は目を見張るものがあった。

「入ってきた時は非常にひ弱で、これがプロに入ってくるのかというくらいの選手でした。でも、非常にリストの使い方が上手い選手で、時としてすごい打球を打ったりしていた。ただ、ここまで打つのはすごいですよね。僕もびっくりです。あの梶谷のスイングはすごい」

 昨季、ファームで過ごした時期もその打撃は別格だったという。プロ入り後に肉体も鍛えられ、髙木氏すら舌を巻くパワーを手に入れた。だが、勝負はここからだ。

「問題は新シーズンでしょうね。相手も研究するでしょうし、注目される中で、もう一歩自分自身が上にいかないとなかなか結果を残せない」

 髙木氏の言葉通り、来季は真価を問われるシーズンとなる。ここでさらに飛躍できれば、DeNAの新たな主軸として認められるに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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