西武がFA移籍の人的補償でロッテ・中郷大樹投手を狙う理由とは

中郷のストロングポイント

 彼の自慢はタフネスさにある。昨年は37試合に登板して2勝2敗、15ホールドポイントを挙げた。ワンポイントだけでなく、中継ぎ投手の評価ポイントであるイニングまたぎ(2イニングにわたって投げること。2イニング目は失点するケースが多い)も難なくこなすことができる。開幕直後は失点するケースも多かったが、5月以降は28試合に登板し、失点は5試合。7月に腰痛で離脱も8月以降は安定した投球を見せていた。9月の西武戦でも好救援。その前の2012年でも、44試合も投げている。

 スタミナ面は実証済みだ。3連投などもあり、酷使が心配される面もあるが、2010年に一度、右肘の手術を受けており、手術以降は、自分の体を理解した上で投球を続けている。勝ちゲームでも、負けている展開でも、臨機応変に役割をこなせるところが評価されている。

 また、投球術もクレバーだ。ゆったりとした間合い、フォームで振りかぶり、キレのある直球を投げ込む。さらに同じ間合いで、ストレートとの差が約40キロもある100キロ台前半のカーブで打者のタイミングを外すこともできる。縦、横2種類の変化をするスライダーも投げ、ゴロで打ち取るタイプの投手である。

 徳島県の那賀町出身。那賀高校からJR四国でプレーし、都市対抗野球にも出場。2006年大学・社会人ドラフトで、6巡目で指名された右腕。見た目にも投球にも派手さはない。ただ、安定した投球できっちりと役割をこなす仕事人といった印象を、中郷からは受ける。西武は非常にいい投手に目をつけたと言えるだろう。もし、移籍することが正式に決まれば、ロッテにとって厄介な投手になることは間違いなさそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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