今後の偉業達成は去就次第? トレード報道に揺れるイチローの最良の未来とは

過去28人しか到達していないメジャー3000本安打

3000
メジャー3000本安打を記録した選手

 過去28人しか到達していないメジャー通算3000本安打は何としても達成しておきたい記録だ。数々の偉業を成し遂げてきたイチローの日本人初の米野球殿堂入りは、大台に届かなくても濃厚と見られている。ただ、資格初年度での殿堂入りを狙うとなると、3000本は必要な数字。日米通算とはいえ、ピート・ローズ超えも前人未到の偉業であることは間違いない。

 昨年8月に日米通算4000本安打を達成したときに、本人は「明日出られるかどうかは今日決まる、みたいな日がずっと続いているので、そんなところ(ローズの記録)に現段階でフォーカスすることはできないです」と話していた。ヤンキースにいればより遠い数字となってしまうことは、本人が十分に分かっているのかもしれない。

 では、移籍が成立したらどうなのか。ヤンキースの首脳陣は、イチローのトレードに動いていると報道されている。ここまで名前が挙がっているのは、ジャイアンツ、パイレーツ、レッズといったナ・リーグ球団。最近ではダイヤモンドバックスも候補として急浮上している。

 どのチームの戦力事情を見ても、ベテランやメジャー経験の少ない若手と併用となる可能性が高く、初めはレギュラーポジションを保証されないだろう。それでも、春季キャンプからイチローが本来の力を発揮すれば、定位置奪取が近付く可能性は十分にある。もちろん、ヤンキースでもエルズベリーやガードナーは負傷が多く、ベルトラン、ソリアーノのベテラン組も1年を通して稼働できるか分からない。いざというときにイチローほどの選手がいれば、これほど心強いことはない。だが、昨年のやや偏った起用法を見る限り、そういったアクシデントがなければジラルディ監督がイチローをレギュラーに据える可能性は低いと言わざるを得ない。

 一方で、ヤンキースというメジャー随一の名門球団の魅力も捨てきれない。ピンストライプのユニホームでプレーすることに、イチロー自身、強烈なプライドを感じている。「(ヤンキースの)ふさわしさというのは、数字だけではない。もちろん結果は大事なことだけど、出ている雰囲気や空気が全く合わない人がいる。このピンストライプが似合わない人がいるじゃないですか。僕は似合うかどうかは別として。そういう人は結果を出しても無理だと思う。そういうことが僕にとっては大事」。4000本安打を達成した夜の言葉だ。

 イチローにとって最良の答えは何なのか。それを考えるのはナンセンスなのかもしれない。シーズン後に語られることはあくまで結果論であり、あらかじめ決まっていた運命を変えるほどの力を、イチローというプレーヤーは持っているからだ。ただ、どのチームであっても、イチローがヒットを打つ姿を出来るだけ多く見たいというのが、ファンの本音でもある。残留か、移籍か。いずれにせよ、結論が出る日までそう遠くはない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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