現状では今季もプレーオフ進出は困難? ヤンキースの苦しい戦力状況とマー君にかかる期待

ヤンキースにとって田中獲得は窮余の一策

 ポスティング制度でメジャー挑戦を目指す楽天の田中将大投手の獲得に乗り出しているヤンキースが、ライバルチームの強化担当から現有戦力ではプレーオフ進出が困難な「年間80勝程度」と厳しい評価を受けている。ESPN電子版が報じ、全米で話題となっている。

「彼ら(ヤンキース)の今の戦力を見るとシーズン90勝というよりも80勝に近い」。あるナ・リーグ球団のGMはそう語ったという。

 80という数字の示す意味は残酷だ。ヤンキースは昨年のア・リーグ東地区で85勝77敗の3位に終わり、プレーオフ出場を逃すという屈辱を味わった。ワイルドカードでプレーオフに出場した東地区2位のレイズは92勝。ダルビッシュ有投手の奮闘などで91勝だったレンジャーズもわずか1勝差で苦杯をなめており、今年、もしもレギュラーシーズンが昨年並みに推移した場合、80勝台ではプレーオフ進出に届かない。もしヤンキースが昨年と同様の勝利数ならば、2年連続で大いなる落胆を味わうことになるだろう。

 しかも、この見立てを行ったGMはヤンキースの今オフの補強に高い評価を与えているにも関わらず、寂しい勝ち星を予見しているのだから状況は厳しい。確かに、キャッチャーのブライアン・マッキャン、外野手のジャコビー・エルズベリー、カルロス・ベルトランという実力者を補強しながらも、いまだ泣き所は多い。

 記事では、内野手の窮状を指摘。禁止薬物使用問題で2014年シーズンの全試合出場停止を命じられたアレックス・ロドリゲス三塁手の代役は見当たらない。40人の登録選手に入った三塁手のレギュラー候補は昨年、レイズで打率.235だった新加入のケリー・ジョンソン、打率.260ながらも守備に大きな不安のあるエドゥアルド・ヌニェス、メジャー経験のないディーン・アンナの3人に加え、マイナー契約の2選手。いずれも名門の先発を担うには疑問符が残る。

 マリナーズにFA移籍したロビンソン・カノ二塁手の代役も実に心許ない。新たに補強したブライアン・ロバーツは故障がちで、それに続くのはアンナかジョンソン、もしくはマイナー契約選手のコンバートで補うことになりそうだ。デレク・ジーター遊撃手とマーク・ティシエラ一塁手も本来は実力者だが、大怪我から復帰途中で計算は難しいところだ。

 先発ピッチャー陣も駒不足である現状を鑑みると、「80勝」という厳しい指摘が実のところ楽観的にも思えてくる。だが、昨年パ・リーグで24勝無敗の田中を獲得することができるなら、この低い下馬評は一変するかもしれない。前出のGMは「(田中を獲得するのは)ヤンキースだと思う」と語ったというが、ストーブリーグに残った最後の大物の獲得こそがヤンキースにとって窮余の一策なのかもしれない。現状、プレーオフに届かないとの見方も出ている名門の救世主となれるのか。田中の交渉の行方が気になるところだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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