30億円プレーヤー誕生の陰に黒田の存在あり カーショーとの熱い友情とは

想像を遥かに上回る二人の友情

 黒田はツーシームを軸とした投球スタイルに変更してメジャーでも成功を収め、カーショーもあっという間に頭角を現した。2人はドジャースで切磋琢磨しながら、メジャーでエース級の投手として確固たる地位を確立したのだ。カーショーは4年目の2011年に21勝5敗、防御率2.28、248奪三振と圧巻の成績を残して、1度目のサイ・ヤング賞を受賞。その際、ドジャースのネド・コレッティGMは「このサイ・ヤング賞には、黒田から学んだものが詰まっている」と師弟関係で結ばれるベテラン右腕にも敬意を表している。

 その年のオフ、黒田はヤンキース行きを決断した。シーズン終了前から、広島への復帰も含めて移籍の噂があった右腕に対して、カーショーは残留を求めて熱烈なラブコールを送っている。その様子は、黒田の著書「決めて断つ」でも詳しく書かれている。9月26日に行われた投手ミーティングでの出来事だった。

 カーショーが黒田に対して「来年も一緒にやろうよ」と語りかけると、周りから「そうだ」という声が次々と上がった。その場は我慢した黒田だったが、クラブハウスに戻ると自身のロッカーの前でこらえきれずに涙を流したという。2人の友情は、想像を遙かに上回る熱いものだ。

 昨年7月31には、2人の投げ合いが初めて実現した。ともに10勝6敗。しかも、黒田の防御率はア・リーグ2位の2.51で、カーショーはナ・リーグトップの1.96と、ともに絶好調の中で実現した初対戦だった。黒田は「カーショーと投げ合うのは僕の中では避けたい部分もありました。ちょっと神様のいたずらというか、こんなことってあるんだなという感じはしました」と話し、一方のカーショーは対戦が決まってから「僕にとってのドリームマッチ」と、ゲームが待ちきれないと言った様子で話している。その一戦は2人の関係を知る全米でも大きな話題を呼んだ。

 試合は期待を裏切らない壮絶な投手戦となり、黒田は7回5安打無失点で降板。一方で、カーショーも8回5安打無失点と、お互いに譲らなかった。ただ、試合は9回に3点を奪ったヤンキースが快勝。試合後、黒田はこの投げ合いをうれしそうに振り返っている。

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