果たして「松坂世代」の復活はなるか トミー・ジョン手術からの再起を目指す男たち

手術からの復活は松坂がリードしていく

 今季、3人が置かれた立場は違う。昨年8月にメッツに入団した松坂は、最初の3試合は0勝3敗と苦しんだものの、その後は変化球主体の新たなスタイルに切り替えて復活。最後の4試合は変化球主体の投球で3勝0敗、防御率1・37と結果を残した。この残像は首脳陣の頭にも残っており、メッツはシーズン終了後に松坂の代理人であるマーク・ピーバー氏と早々に残留交渉を開始。テリー・コリンズ監督も「必ずリストに入ってくる」と再契約を望んでいた。

 メッツはエースのハービーがトミー・ジョン手術で離脱中。昨季、アスレチックスで18勝を挙げたベテラン右腕のバートロ・コロンを獲得したものの、先発ローテーション5番目のイスは空いている。合意間近と見られるのがマイナー契約とはいえ、松坂にかかる期待は大きい。昨季のような安定した投球が出来れば、開幕メジャーの可能性は高いだろう。

 また、和田は2年間でメジャー登板なしに終わったオリオールズを退団し、ゼロからのスタートとなる。ただ、カブスは先発陣が手薄で、楽天からポスティングされた田中将大の獲得にも失敗した。ローテ入りが確定しているのは2、3人だけで、チャンスは大きい。セオ・エプスタイン編成本部長は和田を高く評価し、自ら獲得に動いたとされている。もちろん、まだメジャーで1度も投げていない左腕の実力は未知数ではある。だが、松坂ほどでないにしろ、可能性のある環境と言えるだろう。

 一方、藤川は復活への第一歩を踏み出す。キャンプでは、まだリハビリが続くと見られ、再発させないためには焦りは禁物となる。これは本人も理解しており「この手術は特にリハビリ段階のメニューはプログラムがしっかりありますからね。それに沿って、やっていくことが重要」と話している。

 メジャー復帰は5月の予定だが、来季の契約は球団側が選択権を持っているだけに、ある程度の結果は必要となる。ただ、昨季の時点でメジャー初セーブを挙げるなど実力は示しており、カブスも実力は把握している。「元の姿に戻ること」が何よりも重要となる。

「松坂世代」は、それぞれの存在を意識し、切磋琢磨してきた。だからこそ、同じトミー・ジョン手術から完全復活する選手が出てくれば、大きな励みになるに違いない。それをリードするのは、やはり松坂大輔となりそうだ。日本の野球を支え、今やベテランとなった誇り高き男たちの華々しい復活劇に期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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