プロ野球のキャンプ前に行われている合同自主トレの意義とは

キャンプイン前に選手たちが集まる理由

 その理由としてまず挙げられるのは、1人でやるよりも複数の選手で行った方が刺激になり、練習を妥協しなくなるということだ。また、キャンプで使う充実した施設を利用できることなどもメリットの一つである。さらに最もチームに影響を及ぼすメリットとして、新戦力が早くチームに溶け込めることができる、という点が挙げられる。

 ある球団関係者は「キャンプインからの合流になると特に新人選手なんかは、極度の緊張でまともなコミュニケーションも取れぬままに初日、第1クールと過ぎていってしまう」と説明する。確かに、キャンプに入る前の時期の方が、時間的な余裕がある。ルーキーからすれば、キャンプインの4、5日前からチームで一緒に練習し、食事を共にすれば、極度の緊張がほぐれ、良い緊張感でプロとしてのスタートを切ることができるだろう。

 移籍組も同様である。「転校生」のような存在でもある彼らにとって1日でも早く馴染むことが成功への近道。キャンプ施設の勝手も分からないまま、キャンプインするよりは、事前に使用していたほうがスムーズに入ることができる。そういう点でも合同の自主トレは、選手にとっては休みが少なくなってしまうかもしれないが、チームにとっては大きなメリットがあるはずだ。

 この合同自主トレの期間内は、大抵、新戦力となる選手はチームメートに食事に誘われる。選手たちもその重要性が分かっており、球団によっては初日の夜は「新人歓迎会」と決め、ポジション別に成人したルーキーたちと親睦を深めるために、お酒を酌み交わしている。その中には、トレードなどの移籍してきた選手が交じっていることも珍しくない。

 それらは1日でも早くチームに馴染んでほしいという各チームのリーダーの考え方が反映されており、巨人では内海哲也投手が先頭に立って行っているようだ。2011年の澤村拓一、2013年の菅野智之のルーキーピッチャーが、2ケタ勝利を達成できたのも、そういう環境整備がされていたことも大きかったに違いない。2012年に移籍してきた杉内俊哉も巨人のチームワークの良さをそこで感じ取ったという。

 そのような合同自主トレでは、2日目以降も投手、野手関係なく、交流を深めていき、いつしか壁は取り払われ、新戦力が野球をやりやすくなる環境に変わっていくのである。何事も初めが肝心なのだ。

 そして、それぞれの選手がチームメートにやってもらったことは来年以降に「還元」される。つまり、来年以降は自分が先頭に立ち、過去に受けた恩を後輩や新戦力となる選手のために返していこうという気持ちになるのである。そうやって受け継がれていくチームの伝統は、周りからは見えにくいが、非常に貴重なもの。今、この瞬間も、多くの選手たちが来るべき新シーズンに向け、切磋琢磨しながら準備を進めている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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