日本球界とヤンキースを知る2人の投手がマー君の前に立ちはだかる「壁」を指摘

元同僚・ラズナーが指摘するマウンドの違い

 一方、06年から3年間ヤンキースでプレーし、昨年までの5年間楽天で活躍したダレル・ラズナー投手は日米のマウンドの違いを指摘している。「日本のマウンドは単に砂が堆積しているだけ」と日本のマウンドの柔らかさを証言。対照的に、アメリカのマウンドは固い。その違いのために、投球時の踏み込みに相当な違和感がありそうだが、「田中はMLBのマウンドで球速が上げることができると思う。彼のピッチングは日本にいた時よりも良くなると思う」とラズナーは新天地でのピッチングにプラスに働く可能性を指摘する。より力強く踏み込めることによって、球威が増すという効果が望めるのかもしれない。

 また、ラズナーは日米の公式球の違いについても指摘した。「日本のボールの方がメジャーよりも扱いやすい」とラズナーは語る。メジャーの公式球の方がわずかに大きく、滑りやすいというが、ラズナーは昨年楽天で共闘した田中がロッカールームで座りながら、「メジャーリーグ公式球を握り、感触を確かめたりしていたのを見た」と証言。新天地に挑戦する準備を進めていたようだ。

「彼自身もメジャーに対する知識を持っていたし、挑戦する準備はできていたと思う」

 昨シーズンまで田中とロッカールームなどで話す機会も多かったラズナーはかつての戦友の新天地適応に太鼓判を押した。

 ヤンキースのラリー・ロスチャイルド投手コーチも、ラズナーに同調している。イチロー外野手と黒田博樹投手というプロ野球からメジャー挑戦という同じ道を歩んできた日本人選手2人の存在を挙げながら、「彼がヤンキースにやってきた時に、適応するには何をすればいいのか、手本にできる存在がいる。適応の時間は短くなると思う」とも語っている。

 確かに、偉大な先輩の普段の振る舞いや会話から学ぶことは多いだろう。田中には一刻も早くメジャー文化に適応し、7年1億5500万ドルという条件に相応しいピッチングを見せてもらいたいものだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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