日本時間12日未明のヤンキース入団会見 田中将大が紡ぎ出す言葉とは

「本当にまだ実感は湧いていない」

 1人で室内練習場のマウンドにトンボをかけ、最後の練習を終えた。ポスティングシステムによって今年からヤンキースでプレーすることが決まった田中将大投手。このオフは古巣・楽天の室内練習場でトレーニングを続けてきた。元チームメートがいるときはともに練習ができたが、楽天がキャンプインしてからは1人で練習。サポート役の広報や、時には取材者の手も借りて、練習を行っていた。

「さびしいなとは思いますが、これは自分が選んだことなので。みんな僕がいなくてさびしいと思いますが、頑張ってください」

 楽天ナインがいなくなった1月31日の練習後、田中は冗談交じりにテレビカメラにメッセージを送った。ジョークとはいえ、半分は本音だろう。今まではチームに守られてきた。それがこれからは異国の地で戦う。練習場所も、時間も、パートナーも制限されてくる。想定はしていたとはいえ、日本人メジャーリーガーが経験してみてから分かると言われている孤独感を味わった。

 国内最後の練習を終えた渡米前日の2月8日。心境を問われると「普通です」とインタビュアー泣かせのコメントを発した。気持ちの高ぶりも「ないです」。入団会見でヤンキースのユニホームを着ることになることについては「まだ袖を通していないのでわかりません」と続けざまに答えた。

 ヤンキース入りが決まってから、公の場で何度もアメリカに入った後のことについて聞かれ続けてきた。その度、前述のように田中は答えてきた。表情も変えずに、ただ淡々と。素っ気ないように映るときさえもあった。

 ただ、田中にしてみれば、これが正直な気持ちだった。

「(自主トレを)ずっと日本でやっているので、アメリカに行ってからのことをよく聞かれるんです。もちろん、みなさんも(心境を)聞き出したいでしょうが、僕自身が(アメリカに)行ってないのと、仙台でずっとやっているので、気持ちの高ぶりは特にないですし、普通なんです」

 そう、本人からしてみれば、本当に実感が湧かなかったのだ。

「まず行って、そこでいろんなことに直面して、感じて、気持ちの高ぶりを感じていくものだと思う」

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