「やるしかないでしょう」 超ポジティブ思考で復帰を目指す藤川球児の現在地

「やっぱり先発投手は大変だと思う」

 このリハビリ期間中に藤川が繰り返すのが、「やっぱり先発投手は大変だと思う」という言葉だ。

 奇しくも、メジャー移籍後にトミー・ジョン手術を受けた松坂大輔(メッツ)と和田毅(カブス)の両先発投手は同級生。手術を受けるにあたり、松坂から「リハビリにはできる限りの時間を掛けた方がいい」とアドバイスされた。キャッチボールを始めるようになると、投げ終えた後、今まで経験しなかった肘の張りを感じるようになった。新しい靱帯が体になじむまでは、それなりの時間を要するものだから仕方ない。

 今後の復帰までの道のりを考えた場合、球数の少ない救援は、比較的張りも少なく、張りを取るトリートメントも短時間で済む。だが、先発は試合で投げている間に張りも増すし、そのトリートメントにも時間が掛かる。「球数や投球回数の違いは大きい。やっぱりマツ(松坂)とか和田は大変だったと思うよ」と話した。

 現段階では、平地でのキャッチボールが約120メートルの距離にまで伸びた。次の大きなステップは、2月下旬に予定されているブルペンでの投球練習だ。順調にいけば、メジャー復帰は5月下旬から6月上旬。少しずつだが、一歩一歩確実に復帰への道を歩み続けている。

「どうやったら打ち取れる? こうやったらいんじゃないか?っていうのは、常に頭の中にありますよ。復帰した時に、イメージどおりにどれだけパフォーマンスできるか。やるしかないでしょう」

 怪我をした自分に対する憐憫もなければ、新しい靱帯を手に入れた右肘に対する恐れや心配もない。藤川の頭の中にあるのは、復帰後のマウンドで思いどおりに打者を斬る自分の姿だけだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY