前人未踏の400セーブへ 中日・岩瀬仁紀の秘策はカットボール
「昔は怖いものなしで、マウンドに上がれていた」
プロ16年目のシーズンに向けて、中日・岩瀬仁紀投手(39)は進化を遂げようとしている。
沖縄・北谷で行われているキャンプでフリー打撃に登板した。そこで、ベテラン左腕は右打者の手元で内角に鋭く入って動く、カットボールを試投した。試運転の段階でありながらも、これが効果てきめん。打者を詰まらせた。誰も日本球界では成し遂げたことのない通算400セーブまで残り18セーブ。岩瀬の力ならば普通にやっていてもクリアできそうな数字だが、それだけでは満足していない。
絶対的クローザーの復活を目指している。岩瀬は2004年から10年連続で2ケタセーブを挙げている球界屈指の左腕投手。5度の最多セーブのタイトルを獲得している。ストレートの軌道から、急に変化してくるスライダーが武器。打者がストレートと思って振りにいくものだから、バットに当たることはない。時には右打者の膝に巻き付くような変化を見せる。
さらには左打者の内角に入るシュートもストレートと同じ軌道で入ってくるから、打者にとっては手強い。シンカーを駆使した時期もあり、変幻自在の投手である。しかし、ここ2年では、「思うようなシーズンを過ごせなかった」。一昨年は33、昨年は36セーブをマークしながらも、納得のいく投球ができていなかった。
本音を言えば「昔は怖いものなしで、マウンドに上がれていた」というほど、相手打者を寄せ付けることはなかった。直球、スライダー、シュートの球種だけでほとんどが抑えられた。ただ、他の投手に比べれば抑えている部類に入るが、右打者への対応に苦労してきた。そこで今、磨いているのが、カットボールなのだ。これで右打者を封じ込めることができる。
すべてが一級品の球種に、カットボールが加われば、岩瀬はさらなる飛躍を遂げられるだろう。と同時に、昨年12年ぶりにBクラスに転落したチームを力強く牽引していくに違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count