マー君も受けた「メディアトレーニング」って何?

選手の商品価値を高めるための重要なポイント

 新入団選手は毎日が新しい発見ばかり。日本のプロ野球でいえば新人合同自主トレから、寮の見学、過ごし方、クラブハウスや室内練習場の使用方法などあらゆる場面でプロの世界を学んでいる。だが、これから野球選手として一番、重要になってくるのは「メディアトレーニング」、つまりマスコミ対応である。

 日本では新人選手を対象に、アナウンサーやキャスターがカメラや記者の前でどのように話したらよいのか、人前での話し方をアドバイスする。日本とメジャーでは違いはあるが、田中将大投手も今年、ヤンキースで受講した。

 プロ選手はどこから給料をもらうのかを第一に考えないといけない。それはファンである。ファンが買ってくれた試合のチケット、グッズ収入などが球団に入り、選手の年俸となる。言動でそのファンを楽しませなくてはならない義務がある。ただ、プレーは練習で磨くが、言葉は苦手な選手もいるため、講義が行われる。

 日本でははっきりと大きな声で話すことを重視。発声や腹式呼吸の練習もさせられる球団もある。模擬インタビューもなされ、内容が「頑張ります」など、当たり前のフレーズだと厳しく指摘される。頑張るのは当たり前で、ファンはそれ以上の言葉を求めている。お立ち台での印象に残る言葉を考え、発言するのも立派なプロ野球選手の仕事なのだ。

 メディアトレーニングは球団によって時期は異なるが、たいていは1月中に実施され、キャンプ前に行われることが多い。日本のプロ野球では新人選手合同で行われる研修があり、その中でメディアトレーニングも行う。その年、最もメディアに取り上げられそうなルーキーが代表で見本を見せたりもする。取材慣れしている選手は受け答えも上手い。

 時には言葉が誤解を生じ、揚げ足を取られることもある。メジャーではメディアの方が選手よりも強い力、世間への影響力を持っており、つまらないコメントをしたり、取材拒否をしたら、全てのメディアがその選手を攻撃する。そのため、メジャーのメディアトレーニングでは、米球界の習わしなどを含め、ベテラン記者が、実際の映像などを使い、質疑応答のやり方を示して、相互理解を求めていく。

 日本では女性講師を招き、伝わりやすい話し方など「話す方法」を教えている球団が多い。だが、アメリカでは、よりリアリティーを追求し、実際の取材記者らが担当することなど、スタイルは違う。いずれにせよ、メディアトレーニングは自分の商品価値を高めるために重要な意味を持つのだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY