改めて振り返る、引退を表明したヤンキースの“象徴”ジーターの功績と、松井秀喜氏との絆

お互いを「トシヨリ」と呼び合う松井秀喜氏との絆

 新加入の選手がチームに溶け込むために、配慮も欠かさない。2003年に松井氏が入団したときには、キャンプ中に自宅に招待し、一緒にボクシングのマイク・タイソンの試合をテレビ観戦。それ以来、2人は親友としての関係を築き上げてきた。

 ジーターの人間性を語る上で、松井氏とのエピソードは欠かせない。昨年7月28日にヤンキースタジアムで松井氏の引退セレモニーが開かれたときにも、心温まる出来事があった。

 度重なる負傷に苦しんでいたジーターは、奇跡的なタイミングで復帰戦を迎えていた。そして、セレモニー直後の最初の打席で同シーズン1号ホームランを放った。スタジアムはスタンディングオベーションに包まれたが、試合後に会見に現れたキャプテンは、質問を遮って切り出した。

「質問に答える前に、言わせてほしい。今日は松井デーだ。その日に自分がここにいることは大変に名誉なことだったし、とても幸せだった」

 復帰まで苦しみ抜いたはずだったのに、自分のことは二の次だった。親友の松井氏について、ジーターは賛辞を惜しまない。

「彼はここに来た時、ゴジラと呼ばれて、ホームラン打者としてやってきた。でも、実際は状況に応じた打撃ができる打者だった。1番すごいのは、決して言い訳をしなかったことだ。故障のことも口にせず、プレーすることに毎日感謝していた。彼は常に大好きなチームメートの1人だ。これからもね」

 ヤンキースのキャプテンに絶賛され、松井氏も嬉しそうに言葉を返した。

「僕にとっても彼はもっとも尊敬できる選手だったし、その選手からそう言ってもらえることが、プレーヤーとしては最高の幸せ。僕からも彼に同じ言葉を戻したい」

 現在でも2人はお互いのことを日本語で「トシヨリ(年寄り)」と呼び合う仲。絆は本物だ。

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