オープン戦初登板の田中将大と対戦した打者の証言 初安打のルフは孫の代まで語り継ぐ?

「あのスプリットはすごかった」

 昨年、楽天で記録したリーグ戦24勝無敗という数字のインパクトのせいか、あるいは、メジャー投手史上5位の大型契約のせいなのか。いずれにしてもマー君がすでに対戦相手から絶大なリスペクトを受けていることは間違いないようだ。

 一方、6回に三振に切って取られたドモニク・ブラウン外野手は「彼がいいことは分かっていた。理由もなしにあんな大金をゲットできるわけがないからね。正直、球界の誰もが以前から田中についてよく知っていたと思う。どうしようもないことだけれど、冬の間は彼の話題で持ち切りだったから」と語った。

 メジャーで一番の話題となっていた田中の決め球については、「あのスプリットはすごかった。ストライクのように思えるけど、プレートの手前で急に落ちる。私のようなスタイルの打者は、あのボールを十中八九、振ってしまうと思う」とお手上げ状態だった。

 田中のあまりの前評判の高さゆえに、打者も多少なりとも浮き足立っていたようだ。5回にレフトフライに倒れたキャメロン・ラップ捕手は「1球目に何を投げたのか、さっぱり分からなかった。ボールも見えなかった。(空振り直後)頭はレフトを見ていたよ」とマー君のオーラに飲み込まれたかのようだった。

 また、「彼は相当、気合が入っていたように思えた。だから、こちらもギアを入れたけど、少し遅かった」と闘志を前面に押し出すそのピッチングスタイルに気圧されたことを告白しながらも、「日本のテレビにちょっと出ることができたね」と日本球界への露出は嬉しそうだった。

 メジャーの打者すら平常心ではいられないのだから、“マー君現象”とでも言うべきか。マー君のメジャー初マウンドを振り返る対戦打者の証言は、いずれも興味深いものだった。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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