ヤンキースの日本人投手第3の男 建山義紀が名門のブルペンを救う

安定感抜群の投球で猛アピールする建山

 黒田博樹、田中将大と2人のローテーション投手が注目される中、もう1人の日本人右腕が名門ヤンキースで猛アピールを続けている。招待選手としてキャンプに参加しているマイナー契約の建山義紀投手(38)だ。ここまで中継ぎでオープン戦3試合に登板し、計4回1/3を投げて1安打無失点。ブルペンが手薄とされているチームの中で、安定感抜群の投球が光っている。レギュラーシーズンでヤンキース初となる日本人投手リレーが実現する可能性も出てきた。

 スタートは最悪だった。ヤンキースのバッテリー組がフロリダ州タンパのキャンプ施設に集合した2月14日、建山の姿はなかった。ビザの取得が遅れ、まだ日本にいたのだ。

 本人に不備はなかったが、15日のキャンプインに間に合わなかった。しかも、渡米直前に日本は大雪に見舞われ、「2日ほど一緒に練習している相手が交通事情で来られなかったりとか、丸々2日ボールを握れなかったりとか、ビザを取りに行ったりとか。渡米直前はちょっとバタバタしました」。調整に大きな狂いが出ていた。

 ビザ取得後に日本から飛び乗ったのは韓国経由の便。

「ビザを取ってその翌日にすぐ飛んだので、フライトも選べませんし、長い旅でした」

 17日の午前3時頃にタンパに到着すると、2時間ほど睡眠を取り、約6時間後に始まった練習に合流。すでにキャンプ3日目を迎えていた。

 時差ボケの中で始まったメジャー4年目のキャンプ。ただ、招待選手の立場で「まずは体調を整える」などと悠長に構えてはいられない。「時差ボケもありますし、雪などで渡米直前もちょっと練習できなかった部分もあるので、許される範囲でちゃんと調整したいなと思います」と、すぐに通常通りのメニューを消化。23日には初のフリー打撃に登板し、27日のパイレーツ戦でオープン戦初マウンドに上がった。

 すると、初戦から完璧な投球を披露。6回2死1塁で登板すると、トニー・サンチェスを1球で二ゴロに打ち取り、このイニングを終えた。さらに、7回はネビン・アシュリーを遊ゴロ、マット・ハグー、ホセ・タバタを連続空振り三振。シンカーとスピードの違う2種類のカーブでことごとく打者のタイミングを崩し、まともなスイングすらさせなかった。

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