イチローがすでに2度も対象に MLBの新制度「チャレンジ」ってどんなルール?

スタジアムのスクリーンで観客もプレーを確認できる

 試合のスピード感が損なわれる危険もあると指摘されていたが、その心配は今のところなさそうだ。効果的なのは、ファンも巻き込んで映像を確認できるということだろう。

 対象となったプレーは場内のスクリーンでも流されるため、スローモーションの映像を見たファンからは「アウト!」「セーフ!」と声が飛び交う。スクリーンに集中するため、試合の間が空いているという感じが全くしない。そして、これを当事者の選手も見られるというのが、また面白い。

 6日のイチローの判定についても、審議の間に二塁上でのプレーがスローモーションで流された。微妙ではあったが、セーフに見えたため、敵地のファンの反応は微妙なものになった。イチロー自身はタッチされたか感触が分からなかったというが「(相手の)ダッグアウトからアウトというサインが出ていた。けど、(スクリーンを)見たらセーフだった」と話している。

 各チームのベンチでは、担当者が映像でプレーを判断していることが多い。つまり、この場合も誰かが映像で見た結果としてアウトと考え、ブルージェイズのギボンズ監督が抗議に出てきた可能性が高いのだ。

「何を見ているんだろうなと思って。ということは、審判もアウトと言う可能性がある。怖いなと思った」

 イチローはそう振り返っている。

 圧倒的なスピードを誇る選手だと、スロー映像で見ても間違えることがあるわけで、審判の重要性、そして大変さが改めて分かる。イチローはここまで3試合に先発出場し、2度も「チャレンジ」の対象となるプレーを生んでいるのだから、そのスピードはジャッジしにくいのかもしれない。

 ただ、この新制度の導入で、ベースボールが大きく変わり始めていることだけは間違いない。1ヶ月もたてば、あらゆるケースが出てきて、デメリットも見えてくるかもしれないが、これが野球のさらなる発展につながると信じたいところだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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