今後増加していく元プロ選手の高校野球指導 そのメリット、デメリットは?

プロ選手がアマの監督になるデメリット

 一方で、プロ選手が監督になるデメリットもある。今までは少なくとも2年間、教員として勤務する時間が必要だった。しかし、今回の規定で一番大きく変わったのはこの部分。教員の免許がなくても、監督やコーチになれる。つまり、教育の一環としての高校野球の位置づけが、指導者によって変わってきてしまうのだ。

 元プロはいい選手を育て、チームを強くすることはできる。その監督の指導を受けたくて入部したのならば、問題はないだろう。だが、野球がすべてになってしまうと教育の一環ではなく「野球学校」になってしまう危険性がある。勝てばいい、甲子園に出られればいいという概念にとらわれ、勉学や高校生活が二の次になるという不安が、高校野球関係者の周りにはある。

 また、これまで理解を示してくれていたOB会、父母会、卒業生からの理解が得られないことも考えられる。上記のように、野球学校になってしまった場合や、新監督のやり方がこれまでのやり方やチームカラーから離れていってしまう場合などは反発を受ける恐れもあるだろう。それを避けるためにも、まずは双方の理解を深める必要がある。

 今回の新制度によって、監督に就任する元プロ野球選手はこれから増えていくことになる。これまで多くの指導者がそうしてきたように、真の教育者として、甲子園だけでなく、野球と人間教育の指導の両立を目指していくことにも期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY