なぜ日本記録なのに大々的に報じられない? 連続守備機会無失策記録に見る外野手の評価の難しさ

安定した守備力がなければこの記録にはたどり着けない

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2013年パ・リーグ 1試合当たり刺殺数上位10傑

 そう語る一方で、松本氏は聖澤の守備力にも一定の評価を与えている。というのも、結果的に失策か否かの判断は記録員の手に委ねられるわけで、そのジャッジを下す相手に「好守」を印象付けていなければ、“無失策”は長続きしないからだ。

「記録員の中で、彼(聖澤)がやるんだからこれはエラーじゃなくてヒットだというふうになっていると思うんですよ。そういう意味で、まず前提としてその選手の守備力が評価されないと、この記録を作ることは難しいと思います」

 安定した守備力や継続力がなければ、この記録にはたどり着けない。その意味で、聖澤の刻んだ記録は非常に意義深いものであり、価値がある。ただ、松本氏の中で聖澤に対する物足りなさがあるのも事実だ。

「私の印象では、聖澤はより確実にプレーしているという感じがします。言い方が悪ければ無理をしてない。送球も無理せずにカットマンに投げたりとか。足が速い分、追いつけるというのもあるし、彼が追い付かなかったものに対してはたぶんヒットだと思ってしまうんでしょうけど、私からすると、あの追い方だったら、違う形でやれば捕れるんじゃないかと思うケースもあります。でも、それは記録上には出ないですからね」

 過去には秋山幸二氏や飯田哲也氏ら名手と言われた外野手は多く存在した。しかし、それらの選手たちが記録を更新できていない理由は、松本氏の解説を聞けば、理解できるに違いない。

「今回は数字として表れてきたということであって、それ以上の選手もたくさんいる。ちょっとしたことで交錯して落としたりとかもあるし、いい外野手かどうかは一概に言えないですよね。ただ、聖澤の記録も日本記録として報じられたわけですから、表彰の対象になるでしょうし、そういう記録があるということが分かれば、他の選手もがんばるだろうから、いいことだと思います」

 松本氏はそう語る。確かに、連続無失策の記録が大々的に報じられることはなかったが、この記録が世に出ることで選手が刺激され、かつ、ファンの間で外野手に対する見方が深まれば、有意義なことと言えるのかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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