「松ヤニ使用反対」を唱える選手がほとんどいない大リーグ その“常識”とルール改正の可能性を探る

あまりに「あからさま」だったピネダの松ヤニ使用

 スピード違反だったり、横断歩道ではないところを渡ったり、本来ならば規則に反することでも、あまりに日常茶飯事のことになってしまったために見つからなければ大丈夫、捕まらなければ大丈夫、と、どこか気持ちがゆるみがちなルールがあるだろう。

 先日、ヤンキースのマイケル・ピネダが退場&10試合の出場停止処分となった松ヤニの使用は、メジャーではそんな感覚で受け止められていた。

 4月23日、レッドソックス本拠地フェンウェイパークで行われた伝統の一戦で登板中のピネダが、敵将ジョン・ファレル監督の抗議を受けた球審のチェックを受けた後、松ヤニの不正使用が認められ、即退場処分となった。

 この時、気が進まない様子で抗議に出たファレル監督をはじめ、大半の意見は「あからさま過ぎる」というものだった。

 事実、問題の松ヤニがどこに塗られていたかと言えば、ピネダの首で右耳の下にあたる場所。しかも、申し訳程度どころか、縦3センチ×横6センチほどの広範囲にわたり、焦げ茶色に光るものが塗られていた。

 この日のボストンは冷え込みがきつく、とても汗をかくような状態ではない。汗だったとしても、光る範囲の形状は不自然すぎる。ファレル監督は、抗議せざるを得ない状況に追い込まれたわけだ。

 伏線もあった。4月10日にヤンキースタジアムで行われたレッドソックス戦で、ピネダの手のひらに焦げ茶色に光る粘着質なものが付いている様をテレビカメラが映し出した。

 どう見ても松ヤニだ。だが、その後、手のひらはキレイに拭き取られ、光る物質は消え去っていた。試合後、ピネダは「汗と土が混じったもの。松ヤニではない」と苦し紛れの言い訳をし、この時、審判団に抗議しなかったファレル監督は、抗議しなかったことをメディアに叩かれた。

 だが、この様子を見ていた誰もが思ったことは、「次回はうまくやれよ」。塗る場所を変えたとはいえ、あからさまさを変えられなかった2度目は、やはり見過ごすわけにはいかなかった。

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