ダルビッシュ有と共に戦うもう一人のアジア人 「最高のチームメイト」と称えられる秋信守の素顔と凄さ

転機となったアメリカ2年目で下した決断

 秋は韓国のプロ球界を経ずに、高校卒業をした2000年にマリナーズと契約を結んだ。ユース世代の代表チームにも選ばれ、高校生としては屈指の期待の星だったという。韓国球界からも引く手あまたで、ドラフトの目玉と注目される存在だったが、本人は「世界最高水準の野球ができる場所でプレーしたい」とメジャー行きを希望。ドラフトではロッテ・ジャイアンツが強行1位指名をするも、秋は自分の信念を通して、海を渡った。

 2005年にメジャーデビューを飾るまで、マイナーで4年を過ごした。「野球は世界どこに行っても同じ。だから、プレーすることに関して不安はなかった」と言うが、文化や言葉は大きく違う。予想しなかった戸惑いにも、韓国では経験しなかったつまずきにも出会った。

 だが、今ではすっかりメジャーを代表する外野手だ。どの選手とも分け隔てなく打ち解け、同僚アンドラスやベルトレも「最高のチームメイト」と賛辞を惜しまないほど溶け込んでいる。米メディアとのやりとりも英語で難なくこなすほど、メジャーという舞台になじむ転機となったのが、アメリカ2年目で下した決断だった。

「最初の2年は通訳をつけていたんだけど、3年目からはつけないことにしたんだ。確かに、通訳がいると楽なんだけど、頼ってばかりいて英語を覚えようとしない。それに、第3者を介した会話だと、チームメイトとの雑談であれ、監督やコーチとの野球に関する話し合いであれ、心と心が通じ合わない気がしたんだ。言葉のちょっとしたニュアンスが伝わらないこともあるし、自分が会話しているはずの相手が、結局は通訳の目を見て話すようになってしまう。だから、野球に関する英語はある程度分かるようになっていたから、思い切って通訳なしでみんなの輪の中に飛び込んでみたんだ」

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY