自身通算174個目の白星で見えたヤンキース黒田博樹を支える向上心

40歳目前でも第一線で活躍できるポイント

 先発投手は日本ならば週に1度、メジャーなら5日に1度は登板が回ってくる。年間を通して、絶好調という日は1度か2度あれば良い方だという。ヤンキース・田中将大投手でさえ「毎回、調子は違う。悪いなりにも粘って投げられた」などと言ったコメントを残している。本調子でない中でいかに粘り、我慢強く投げられるかがポイントとなるのだ。

 39歳の黒田はどん欲だった。1か月間、勝てない苦しい中でも、次に繋がるものを探し、見つけ出していた。「今後の自分に言い聞かせることができる」と話していることからも分かるように、もしも再び長く勝利から遠ざかるようなことがあったとしても、我慢が持ち味の男ならモチベーションを維持できるはずだ。

 今季、黒田は投球の幅を広げるために、キャンプでカットボールの再習得に取り組んだ。また、この試合ではパイレーツ打線に対してカーブを効果的に使い、「それで凡打を取れたんでね。投球の幅を広げたり、相手に的をしぼらせない意味でもよかった」と手応えをつかんだ様子だった。

 40歳目前になっても一線で活躍できるポイント。そこには飽くなき向上心がある。気持ちの面でも、技術の面でも立ち止まることをしない。現状維持も許さない。新しい引き出しが増えていく限り、黒田博樹はまだまだ勝ち続けるだろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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