FA市場に残された“最後の大物”が6月に入ってツインズと契約 契約成立の足かせとなったクオリファイング・オファー制度とは

クオリファイング・オファー制度の中身

 6月7日に今年度MLBドラフトが幕を下ろした翌日、フリーエージェント市場に残っていた最後の大物、ケンドリス・モラレスがツインズと契約を交わした。今シーズンが開幕してから、実に2カ月以上も経っての出来事。今年で31歳。脂が乗って働き盛りの選手が、2カ月も契約できない状態が続いたことになる。

 普通ではあり得ないような出来事が起きてしまった背景には、2012年オフから採用されたクオリファイング・オファー(QO)制度の存在がある。

 QOの説明をしておこう。

 2011年11月に締結されたMLBとMLB選手会との労使協定で規定されたフリーエージェント(FA)移籍に関する補償制度を指す。ある選手がFAとなる場合、残留を希望する現所属チームは、ワールドシリーズ終了から5日間以内に、その年の年俸上位125選手の平均年俸額(2013年は1410万ドル)での1年契約をQOとして提示することができる。

 QOを受けた選手は7日間以内に提示を受けるか拒否するかの返答が義務づけられている。QOを拒否した選手が新チームとFA契約を結んだ場合、新チームはドラフト1巡目指名権を前所属チームに明け渡さなければならない。ただし、新チームが前年度30球団中下位10位以内の場合は、前所属チームは1巡目と2巡目の間に指名権を得ることができる。もちろん、QOを拒否した場合でも、前所属チームとの交渉、再契約は可能だ。

 2012年オフから実施されているQOだが、2012年オフにQO提示を受けたのは9選手、2013年オフは13選手だった。そして、両年ともに全選手がQO提示を拒否している。

 チームの立場から言えば、QO提示額は決して安い金額ではないため、誰彼構わずオファーを掛けるわけではない。昨季オフであれば年俸1410万ドルにふさわしいと思える選手だけにオファーを掛けている。だが、選手の立場から言うと、QOでの契約年数が1年である点に問題がある。

 QOを受ける選手は、それなりに優秀な成績を残した選手たち。FAとなった彼らが一番求めるものは安定、つまり複数年契約だ。QOで提示された金額に異論はなくても、複数年契約へのこだわりを捨てきれず、QOを拒否するケースが多い。

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