往年の名投手の記録にも迫る田中将大のずば抜けた安定感 「これまでの仕事ぶりは首尾一貫してエクセレント」

誇大広告と思われた前評判を完全に凌駕

 特集では田中が継続する“大記録”にも注目している。田中は今季メジャーデビュー以降、全14試合でクオリティスタート(QS=6回以上を自責3以内)を続けており、QS率は100%。これは今季メジャー唯一だ。“キング”の異名をとるフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)も16試合中14試合で追随するが、田中には及ばない。

 今季、田中がこのまま絶対的な安定感を示し続ければ、1994年のブレーブス在籍時に名投手グレッグ・マダックス(レンジャーズGM補佐)が記録した25試合中24試合、QS率96%というメジャー史上最高の数字をも凌ぐことになるという。

 そして、田中の眼前に迫るのがスティーブ・ロジャース(エクスポズ)が1973年に残したメジャーデビューからの記録だ。ロジャーズはメジャー13年間で393試合に先発し、158勝152敗、防御率3・17の成績を収めた投手。オールスターにも5回出場している。その右腕はデビュー登板となった1973年7月18日アストロズ戦の8回2失点から、同9月25日のメッツ戦の6回2失点まで16試合連続でQSを続けた。メジャーデビューから14試合連続の田中はあと2試合というところまできている。

 これらのデータを踏まえて、特集は田中が持つ打者を抑える能力と完璧主義者の一面、またヤンキースに高確率で勝利をもたらしている貢献度を高く評価。「誇大広告と思われた前評判を完全に凌駕するケースは実に珍しい。田中のこれまでの仕事ぶりは首尾一貫してエクセレントだ」と締めくくっている。

 ヤンキース加入当初は、7年総額1億5500万ドルという金額面がクローズアップされることも多かったが、最近の地元メディアの論調では「お買い得物件」という認識で一致している。

 同僚の信頼も高まる一方だ。ニューヨーク・デイリーニューズ紙によると、ブレッド・ガードナー外野手は「この前の試合後、彼に『ダッグアウトにグローブを置いたまま守備位置に着こうと思った』と伝えたんだ。彼に2、3点の援護ができれば、我々は勝てるんだ」と話している。田中が投げれば、外野手はグローブいらず。そんな言葉も出るほど、田中に対するチーム内の評価も高まっている。

 このままどこまでの高みに上っていくのか。田中株は全米で高騰するばかりだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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