歯止めがきかないファン投票の減少傾向 オールスター戦の最終投票結果に見る日本プロ野球の今

昨年と比較しても10万票減少している投票数

 6月27日に今年のオールスターゲーム(7月18日・西武ドーム、19日・甲子園)の投票結果がセ・リーグ、パ・リーグ共に発表された。好調の広島カープからは球団最多8選手が選出(前田、一岡、ミコライオ、キラ、エルドレッド、菊池、丸、堂林)。パ首位のオリックスからも阪急時代から含めて球団史上最多となる5選手が選ばれた(西、佐藤、平野、糸井、ペーニャ)。ここまでのチーム成績と熱狂的なファンからの支持が結果に表れた形だ。

 両リーグの最多得票はオリックス・糸井嘉男外野手の48万7246票。2年連続で最多得票となった。オリックスでは1995年から6年連続で12球団最多得票だったイチロー外野手以来の出来事である。糸井は「野球選手にとって光栄なことです」と全国の野球ファンに感謝した。走・攻・守と三拍子のそろったプレーを見せることに全力を注ぐ。見たいと思わせるプレースタイルが最多得票につながったのだろう。

 ただ、気がかりなことがある。今年の投票総枚数は162万7450票だった。当時のイチローは投票の方式が今とは違うとはいえ、1人で100万票以上を集めていた。そう考えると、オールスターへのファンの興味が薄れてしまっている感は否めない。

 2003年まではインターネットによる投票が無制限だったため、100万票を超える選手は多くいた。しかし、03年のこと。01年にヤクルトから中日に移籍以降、度重なる怪我で1度も登板していなかった川崎憲次郎投手を投票で1位にしてオールスターに出場させようとする動きがあり、700万以上の票を集める“事件”が起きた。それにより、10年前の04年から07年まではインターネットで1日5回までとする投票ルールに改正された。

 08年からは1日1回の現行方式となった。投票無制限の時代とは比べものにならないとはいえ、投票数は8年連続で減少している。ちょうど10年前の2004年の総投票数は約396万票で、当時から約234万票も減少。1日1回という今年と同じ方式となった6年前の2008年と比べても、100万票近く少なくなっている。約180万だった昨年からは18万票減。手軽なインターネット、携帯電話、スマートフォンでの投票も可能であるのに、減少に歯止めがきかなくなっているのが現実だ。

 広島、オリックスの球団最多の選出に沸き、盛り上がりを見せる今年のオールスター。だが、その陰で、深刻な投票数の低下、ファンのプロ野球離れがあることも受け止めなくてはならない。オールスターの1試合制、交流戦の隔年開催、スター流出の阻止など、課題はたくさん残されている。毎年のように議題にあがるこのテーマ。野球ファンも交えて解決策を講じていかなくてはならない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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