ソフトバンク柳田悠岐が覚醒の予感 和製大砲を好調へと導くある“変化”

覚醒の予感を漂わせる和製大砲

 驚弾が飛んだ。6月28日の西武戦。ソフトバンクの柳田悠岐が放った打球は力強い放物線になった。1ボールからの2球目をフルスイングすると、白球はセンターバックスクリーン右、右翼芝生席を遙かに越えて、場外へと消えていった。「完璧でした。しっかり振り抜けた」という推定飛距離140メートルの特大弾には、ホークス期待の和製大砲の魅力が詰まっていた。

 広島出身の25歳は、地元の広島商業高、広島経済大を経て、2010年のドラフト2位でソフトバンク入り。類い希なる身体能力を持ち、プロ2年目の2012年に68試合に出場して5本塁打を放つと、翌年には、さらに出場機会を増やし、104試合で298打数88安打11本塁打、打率2割7分5厘。主力の1人として期待されて迎えた今季だった。

 そんな大砲が、覚醒の予感を漂わせている。

 29日の西武戦を終えた時点で、打率3割3分6厘。オフの自主トレを共に行うオリックス・糸井嘉男に次ぐリーグ2位につけている。9本塁打はリーグ10位タイだが、42打点は4位。打撃3部門で上位につけているのだ。

 指導する藤本博史打撃コーチからは「ゴミか、天才」と評される柳田。その言葉通り、ツボにはまれば、凄まじい打球を飛ばす一方で、首を傾げたくなるような凡退を繰り返す浮き沈みが激しいタイプだった。

 ところが、だ。5月20日から始まった交流戦では、12球団で2位の打率3割7分1厘をマーク。24試合で、無安打は6試合あるが、それらの試合でも四球などできっちり出塁しており、19四球、出塁率4割8分2厘は両リーグ通じてトップだった。

 確実性と安定感が増した打撃には、ある「きっかけ」があった。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY