ヤンキース監督が好投の黒田博樹を見殺しにした打線を嘆く 「黒田は際立つパフォーマンスだった」

調子を上げてきている黒田だが、打線は湿ったまま

 この日もヤンキース打撃陣のバットは湿っていた。1日(日本時間2日)のレイズ戦。相手先発のエース左腕デビッド・プライスの前になかなか得点を奪えない。先発した黒田博樹投手が8回を9安打7奪三振1四球2失点と好投したが、貧打の打線は1点のみに終わり、1-2で競り負けた。

 試合後、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督の表情は暗かった。「黒田はすばらしいパフォーマンス、際立つパフォーマンスだった」と力投の日本人右腕を称賛しつつ、低調な打線について「プライスは攻略が難しい相手だが、個々が仕事をしないといけない。打線は得点を生み出す術を見出せなかった」と嘆いた。

 ヤンキース打線は先月28日にもレッドソックス相手に9回2失点と好投した田中将大投手を援護できず、1-2で惜敗。以来、勝ち星に見放され、これで4連敗だ。開幕時の先発ローテーションのうち、CC・サバシア、マイケル・ピネダ、イバン・ノバが負傷離脱中。その危機的状況にあって、勝ちを計算できるエースの登板試合でも勝ちきれないのが今のヤンキース。ジラルディ監督は「1人や2人ではなく、たくさんの打者が調子を落としている状況だ」としながらも、「(打線が目覚めることを)もちろん信じている。うちの打者には確固たる実績があるからだ。何とかきっかけをつかむしかない」と言葉を絞り出した。

 一方、好投が報われず今季6敗目(5勝)を喫した黒田は「いい投球をしても負けてしまうと気分は良くない」と肩を落とした。

 悔やまれるのは6回に許した勝ち越しソロだ。ドジャース時代の同僚、ジェームズ・ロニーに初球のカーブを痛打され、右中間スタンドに運ばれた。初球カーブはフランシスコ・セルベリ捕手の要求だったが、「気持ち悪い感じもあった」という。痛恨の被弾に「彼(ロニー)の性格を考えれば安易だったと思う。彼とはドジャースで一緒にやっていた。ああいうところがあるので、慎重さがなかった」と唇をかんだ。

 それでも調子は上向いている。4月の防御率は5・28だったが、5月は4・00、6月は3・52と徐々に向上し、6月の登板は5試合中4試合でクオリティー・スタート(QS、6回以上を自責3以内)だった。この日は今季最長イニングを投げ、3試合連続でQSを達成。防御率は4・08となっている。

「ブルペンはいつも準備して大変だと思っていた。1人でも多く投げる気持ちでマウンドにいた」と黒田。「続けていくしかない。結果を受け止めて切り替えるしかない。こういう投球を続けていけば、チームから信頼してもらえると思う」と悔しい敗戦にも前を向いた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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