メジャーに大衝撃を与えた電撃トレードの舞台裏 1989年以来となる世界一に向けアスレチックスが“超本気”

アスレチックスが若手有望株3人を同時放出した衝撃

「約1カ月前、ビリー(・ビーン、アスレチックスGM)から今年は積極的にトレードに動くと連絡があったんだ。特に、先発強化に力を入れるつもりだから、サマージャとハメルをトレードしたかったら声を掛けてくれ、と言われた。まずは、サマージャとラッセルを軸としたトレードを画策したが、うまく折り合いがつかない。そこで、本当に昨日になって、少し視野を広げたトレードを考えてみようって話になったんだ」

 こういった流れから、サマージャとハメルが同球団に移籍することになったのだが、その代償としてアスレチックスがラッセル、マッキニー、ストレイリーの3人を同時放出したことも大衝撃の理由の1つだ。

 2012年ドラフト1巡指名のラッセルは、本職は遊撃ながら二塁、三塁もこなす20歳。秀逸な守備と確実な打撃が売りで、MLB.comの今季若手有望株ランキングでは11位に入っている。加えて、昨季ドラフト1巡指名のマッキニーだ。19歳の外野手は現在1Aで修行中だが、数年後にはクリスプやモスの後釜として大輪を咲かせることが期待されていた。

 低予算で知られるアスレチックスは、若手中心のチーム構成を持ち味とし、若手選手が即戦力に成長した頃合いを見計らってトレードに出し、他球団から有望株を手に入れるのが常だった。だが、今回のトレードはその逆で、実績を残した即戦力を手に入れるために有望株を手放している。映画「マネーボール」でも有名なアスレチックスのビーンGMの声に耳を傾けてみよう。

「我々が若手選手を多く抱えている理由は、勝つためだ。そして、今現在、現実問題として優勝を狙えるチームがある。ただ若手選手を集めるだけが、我々のできることじゃない。どんなチャンスも逃さずに、しっかり捕まえなくてはならない。主力を放出して有望株を手に入れることもある。有望株と引き換えに主力を獲得することもある。今、我々は後者のサイクルにあるってことなんだ」

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