田中将大が受けているPRP療法って何? ヤンキース主治医がその効果を語る
この治療法が有効な理由
では、なぜこの治療法が有効なのか。「けがを早く治癒するだけでなく、回復をより予測可能なものにすることができる」と同医師は説明している。特に、田中のように早期復帰を期待される選手にとっては必要で、「積極的なリハビリプログラムや、患部を冷やしたり、熱を与えたり、超音波や回復を刺激する他の様式と併用されることが多い」という。
アーメッド医師はPRP療法によって多くの成果を導き出しており、「野球などのスポーツによってハムストリングを損傷した患者を診てきたが、一般的に6週間かかる傷を3週間まで短縮した。実際に定量化できるほどの数ではないが、PRP療法によって手当てされた患者の回復時間がかなり短縮されるのを見てきた」としている。田中の場合も早期復帰に期待がかかる。
もっとも、PRPはまだ完璧に確立されていない治療法でもあるという。特に、注射の投与量について、アーメッド医師は「PRP療法が機能することは知っているが、いまだ我々がつかめていないのは、どういった量が適切であるかだ。1回の注射で十分なのか? 2回のほうがいいのか? 3回は多すぎか?」と話している。田中についても、経過次第で再び患部に注射を打つ可能性があるということだ。
田中の回復状況は、ヤンキースの今季の行方を大きく左右する。負傷するまで12勝4敗、防御率2・51という成績を残した右腕が8月下旬に戻ってくれば、プレーオフ進出に向けて大きく期待が膨らむ。反面、治療の効果が表れずにトミー・ジョン手術となれば、今季どころか来季も大半を棒に振る可能性が高い。アーメッド医師が説明するように、PRP治療が大きな効果を生み出すことを、ヤンキース関係者、チームメート、また、多くのファンが願っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count