運命の日を乗り切った田中将大 早期復帰か入念な治療かで揺れるヤンキースのジレンマ
気になる復帰時期と治療方法の判断
ここで気になるのが今後の復帰時期だ。デリケートな負傷だけに慎重な姿勢が求められており、キャッシュマンGMも順調にリハビリが進んでも早くて9月との見通しを示している。
この日、田中もじっくり治療したい思いと早期に復帰したい思いの両方が混在することを語りつつ、「繰り返しても仕方ないので、しっかりと治す方を優先したい。中途半端にまた戻ってまたその試合で迷惑をかけて、またさらに離脱っていう形が一番最悪だと思う。1日も早く良くなることが一番ですけど、焦らず、しっかりと治してまたいい状態で上がれるようにはしたい」と話している。
田中はそこまでナーバスになっていない様子で、焦りも見えない。球団側の判断に身をゆだねようという気持ちなのかもしれない。一方でヤンキースにとっても悩ましい判断となる。2年ぶりのプレーオフ進出に向けて田中の存在が不可欠なことは明白。一方で、7年総額1億5500万ドルで契約した期待の投手を酷使するわけにもいかない。
右肘の負傷が判明した直後から、地元メディアでは早期に手術に踏み切らないことを疑問視する声も出ていた。手術を受けた場合は復帰まで1年以上を要するため、実施が遅れれば、来季も棒に振りかねないからだ。しかし、ヤンキースはあくまで保存療法で復帰できるとの見方を示してきた。
もちろん、手術の回避は3人の医師による見解であり、手術せずとも完治する見通しがあるからこその判断なのだろう。ただ、プレーオフ進出を見据えるヤンキースにとってエースの手術をできるだけ避けたい思いもあるに違いない。トレード市場で田中離脱の穴を少しでも埋められるような先発を獲得できなかったことも、田中の復帰に期待せざるを得ない側面を強めている。だからこそ、地元メディアも田中のキャッチボール再開に注目していた。