MLBの次期コミッショナーの座は誰の手に 長年辣腕を振るってきたバド・セリグ氏の後任は近日中にも発表へ

MLB機構は年間総収入が80億ドルを超える大企業

 レッドソックスの共同オーナーを務めるワーナー氏は、テレビの制作からキャリアをスタートさせた人物だ。全米ネットワークABCで働いていた頃は、今やハリウッドを代表する俳優として名高いロビン・ウィリアムスやトム・ハンクスといった才能を発掘。「The Crosby Show」や「That’s 70s Show」などヒット番組を世に送り出すなどし、テレビ業界の殿堂入りも果たしている。

 スポーツ界に進出したのは、1990年のこと。共同オーナーの1人としてサンディエゴ・パドレスの買収に参加し、球団経営に関わった。1994年暮れに持ち株の大半を売却し、パドレスの球団経営からは退いた。2002年にジョン・ヘンリー、ラリー・ルッキーノと共にフェンウェイ・スポーツ・グループを設立し、レッドソックスとフェンウェイパークらを買収。以降、レッドソックスは3度世界一に輝いている。

 さて、MLB機構は、年間総収入が80億ドルを超える大企業だ。そのトップに立つ人物を選ぼうというのだから、これは一大事。しかも、セリグ氏が現職に就いたのは1998年7月のこと。1992年からコミッショナー代行だった期間を合わせれば、22年間もMLBのトップとして指揮を振るっていたのだから、政権交代は容易ではない。

 セリグ氏がコミッショナーとして積み上げた功績は計り知れない。現在では当たり前のようになっているMLBの制度やルールも、その多くがセリグ政権で採用されたものだ。

 いくつか例を挙げてみよう。1994年のストライキで加速したファン離れを止める一環として、1997年にインターリーグ(交流戦)を導入。翌98年にはダイヤモンドバックスとデビルレイズ(現レイズ)を加えて全30球団に拡大した。MLBの禁止薬物規定を強化して運動能力向上薬物の排除に努めるべく、最近ではマイアミで起きたバイオジェネシスという病院をめぐる使用禁止薬物を巡るスキャンダルの徹底調査を行ったことが記憶に新しい。

 また、2008年からホームラン判定に限定して導入されたビデオ判定システムを今季から拡大汎用させたり、プレーオフのワイルドカード枠を2つに増やしたり。強硬すぎるという声が聞こえる中でも、その類い稀なるリーダーシップで、数々の改革を成し遂げてきた。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY