イチローにさらなる苦難 ベルトランのライト復帰でさらにポジション争いが激化

イチローは現時点ではライトの3番手?

 7月にタイガースからトレードで加入したばかりのスマイリーはこの日の試合前の段階で、左打者に対して今季被打率.178と圧倒的な成績を収めていた。その左腕に対してジラルディ監督はこの日、1番ブレット・ガードナーと3番ジャコビー・エルスベリー以外は全員右打者で先発を固めた。

 だが、ヤンキース打線はスマイリーを打ち崩せなかった。2回に2点を先制したものの、スマイリーは7回を投げ、4安打1四球で2失点とハイクオリティスタート(7回以上を投げ、自責2以内)を達成。それでもヤンキース打線は最終回にレイズの抑えジェイク・マギーから1点を勝ち越し、3-2で勝利している。連敗も5でストップ。ただ、ジラルディ監督お決まりの“左腕には右打者、右腕には左打者”という単純な選手起用は奏功したとは言い難かった。

 一方、イチローは左打ちだが、スマイリーとは過去の対戦成績で7打数3安打と相性抜群だった。だが、監督の方針により、この日打席に立つことはなかった。また、13日のオリオールズ戦、15日のレイズ戦ともに相手先発は右腕だったが、それでもイチローは打席に立つチャンスを手にしていない。

 最後に先発した今月10日のインディアンス戦以降、バッターボックスに立っていないイチローは今季253打数70安打で打率.277と貧打のヤンキースの中ではまずまずの数字を残している。守備と走塁はいまだチーム最高レベル。だが、相性のいい投手や右腕との対戦でも出番が減っているのが現状だ。

 今季開幕前には外野手の5番手と位置づけられたが、イチローは走攻守にわたる活躍で前半戦をレギュラーで折り返すことに成功した。しかし指揮官の起用法、プラドの加入、さらにはベルトラン復活という“三重苦”で、ライトの3番手という新たな苦難に直面している。不惑の天才が今回の危機も乗り越えることを期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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