今季中に復帰すべきか否か ヤンキースの低迷に現地では「来季優先」の声が出始めるも田中将大は今季マウンドに上がる覚悟

「タナカの投げる全てのボールが時限爆弾になりえる」

 もちろん、本人に不安がなく、万全の状態に戻っていることが大前提だが、責任感が強い男だけに、健康体にもかかわらず来季を見据えてマウンドに上がらないという選択肢はないようだ。

 もっとも、地元メディアを通じて田中の意志を聞いたジラルディ監督は「彼が健康体であることを把握することが重要だ。それには、試合で投げることが唯一知りうる方法だ」と答えており、慎重な姿勢も忘れていない。今後のリハビリの段階でどこかで痛みが生まれれば、靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)で全治1年から1年半の離脱を余儀なくさせる可能性は高いからだ。

 地元紙デイリーニューズによると、17日(同18日)に肘の異常がなければ、右腕は患部に負担のかかる変化球を負傷後初めてテストする予定だという。記事では「タナカの投げる全てのボールが時限爆弾になりえる。損傷した靭帯に負荷を与えるのだから」とし、いまだ予断の許さない状況であることを強調している。

 ロスチャイルド投手コーチも「一度に一歩しか進めないし、そうやって進んでいくしかない。彼に5試合ぐらい先発してもらいたいかって? もちろん。でも、リハビリをやり遂げるまではどうなるのか分からない。そして、試合に出ることになる。そうなった時も(田中の肘の状態には)注視しないといけない」と警戒を強めている。

 PRP皮膚再生法という自らの血液から抽出した多血小板血漿を患部に注射する保存療法は、現在のところ田中の肘の痛みを消すことに成功している。ただ、今季中の復帰が吉と出るか凶と出るかは、誰にも分からない。田中とチームが出す決断が最高の結果につながることを願わずにはいられない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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