160キロ超の剛速球や長打力だけではない 大谷翔平の最大の才能とは

花巻東高時代の恩師も舌を巻く向上心

 西武ドームのマウンド傾斜がこれまでと違い、両軍ともに投手陣は投球に苦心した。そこにも「言い訳にはならない」と一刀両断。そしてギアを入れ替えた後半の内容にも「尻上がりなのはいつものこと。相手が甘い球を打ち損じてくれただけ」。普段から自身の結果に満足することは極端に少ないが、そのトーンは厳しかった。

 厚澤投手コーチは開幕直後、今季の大谷について、勝利や奪三振、防御率など、目標値、期待値を設定しなかった。「二刀流のルーティンを確立させる年」とだけ言うにとどまった。

 それは確実に遂行された。登板日と、その前後の最低計3日間は野手での出場はなし。投手調整に重点を置き、登板も中6日が基本軸となった。各媒体の担当記者も次回登板日を探るために首脳陣へ質問を投げ掛けることがほとんど不要になった。

 だが、大谷は予想を上回る活躍を見せた。8月18日現在で、防御率2・52と奪三振数144はともにリーグ2位。奪三振率は実に10を超える。9勝はチーム勝ち頭だ。

 それでもなお、現状に満足することなく、高みを求める。そして自分に厳しく、妥協は一切しない。花巻東高の佐々木洋監督も「とにかく練習していました。やめろと言うまで練習する」と在学当時を述懐していたほどだ。

 プロ野球界を席巻し続ける二刀流戦士。野球の神様から授かった一番の才能は、果てることのない向上心なのかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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