ヤンキースの逆転プレーオフ進出へ、イチローがキーマンの1人

8月にチーム最高の3割5分2厘を記録したイチロー

 ヤンキースのイチロー外野手は、プレーオフ進出を目指して最後の1か月に挑むチームの中で、キーマンの1人になりそうだ。8月は54打席19安打という成績でチーム最高の3割5分2厘を記録。チーム打率が2割4分1厘とア・リーグ東地区15チーム中10位と調子を落とす中、再び勢いを上げてきている。

 7月にスランプに陥ったイチローはV字回復を遂げた。開幕前には外野手の5番手という位置付けだったが、走攻守におけるハイレベルな活躍で周囲の低評価を覆し、オールスター前にはレギュラーの座を奪回。しかし、7月は76打席17安打に終わり、月間打率は今季最低となる2割2分4厘に留まった。

 40歳のベテランが結果を残せなかったことで、ヤンキースは7月末のトレード期限までに右翼のレギュラー候補としてマーティン・プラドを補強するなど、評価は落ちかけていた。

 だが、打席数が20以上減少した8月は逆にヒットを2本増やした。前半戦6回成功だった盗塁も8月だけで5回成功させるなど、持ち前のスピードという武器も輝きを放った。限定的な起用の中ではあるが、ギアを再び一段階上げた気配もある。

 ヤンキースでこの8月にイチロー以外で好調だった野手は、打率3割2分4厘で本塁打5本、16打点と昨季レッドソックスのワールドシリーズ優勝に貢献した時のような働きを見せたジャコビー・エルズベリー。そして、7月のトレード期限ギリギリで加入し、2割8分2厘、4本塁打と活躍したプラドの2人以外にいなかった。

 今季限りで現役引退するデレク・ジーターは2割7厘、7月にホームランを量産したブレット・ガードナーも2割1分3厘と、主に1、2番を務めた2人は調子を落とした。大砲マーク・テシェイラとレッドソックスからトレード期限に獲得したスティーブン・ドリューは2割を切る低調な出来。レギュラークラスで打率2割5分以上記録しているのは、エルズベリー、プラドのわずか2選手だけで、限定的な出場が再び多くなったイチローの数字が目立っている。

 ただ、エルズベリーはブルージェイズとの3連戦初戦で左足首を捻挫し、精密検査を受けることになるなど、負傷を抱える羽目になってしまった。

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