迫りくる2年連続の「プレーオフ逸」 ヤンキースは20年ぶりの屈辱を回避できるか

ジラルディ監督は「全部の試合に勝つしかない」と悲壮の覚悟

 今季のヤンキースは、開幕ローテーションに入った5投手のうち、黒田を除く4投手が負傷。前半戦で圧倒的なパフォーマンスを見せ、チームを支えていた田中将大も右肘靱帯部分断裂で長期離脱を余儀なくされた。さらに、打線では新加入のブライアン・マッキャン、カルロス・ベルトランは期待外れ。ジャコビー・エルズベリーは及第点の成績を残しているものの、好不調の波が激しい。今季限りでの引退を表明しているデレク・ジーター、主砲のマーク・テシェイラには衰えが目立つ。

 現在、先発陣は開幕当初に乗り切れなかった黒田の復調、7月のトレード期限までに獲得したブランドン・マッカーシー、クリス・カプアーノ、新人のシェーン・グリーンの奮闘などで、何とか持ちこたえている。4月下旬に離脱したマイケル・ピネダも、8月に復帰してから素晴らしいパフォーマンスを見せている。

 ただ、打線は湿りきっている。開幕前は控えと見られていたイチローはハイレベルな打撃を見せているが、7月に獲得した選手も起爆剤とはならなかった。チェイス・ヘッドリーは下降線を辿っており、チームを牽引する活躍を見せていたマーティン・プラドも太ももを負傷して一時離脱。スティーブン・ドリューは打率1割から上がる気配が見られず、定位置を確保できていない。いくら投手陣が踏ん張っても、援護なく敗れるという試合が続いている。

 今季の戦いぶりを見ると、来季以降に希望の光を見いだすことも難しい。ただ、米メディアの報道ではブライアン・キャッシュマンGMの続投が濃厚とされている。ジョー・ジラルディ監督も今季が4年契約の1年目で、チームに大きな変化は望めない状況だ。さらに、強烈なリーダーシップを持つジーターがいなくなれば、チームへの影響は計り知れない。不安要素ばかりが目立ち、立て直すための術は見えてこない。

 ジラルディ監督は9日の試合後に「(残り)全部の試合に勝つしかない」と悲壮感を漂わせた。絶望的な状況からプレーオフ進出を果たせば、名門球団に漂う危機的な雰囲気を変えるための起爆剤になるかもしれない。「1・1%の奇跡」が起こる可能性はあるのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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