DeNA苦渋の選択 若手選手への大量戦力外がドラフト戦線に与える影響

若手選手を戦力外とすることの影響

 高卒まもない選手が戦力外となると、送り出した側の学校や野球部監督の不信感はぬぐえない。ある高校の指導者は「親と同じような気持ちで選手を送り出すわけですから、ひとつでもいい順位で行ってもらいたいし、1年でも長く現役をやってもらいたいと思う」と話す。

 3年で戦力外を言い渡されれば、「なぜ?」という疑問は生まれるだろう。学校としては将来を見据えて、進学や就職を勧めることもできたのに、予想より早くプロでの道を断たれてしまっては、自分たちの判断を悔やむとともに、今後、有望選手が生まれても特定の球団からの指名には「拒否」の姿勢を取ることも考える。球団も今後、拒否されるとわかれば、1枠を無駄にすることから、その学校の生徒に強行指名しづらい。そうなれば、関係性は凍結するだろう。

 もし、どの球団もほしがる選手が出てきたら、どうなるだろうか。学校側は指名拒否で社会人入りということも視野に入れる。「あの球団は高卒3年で見切りをつける」などの話が関係者に広まると、獲得した選手が早々と戦力外に至った担当スカウトも活動に影響が出てくるだろう。

 もちろん、今回の横浜DeNAのケースはそれらをすべて踏まえた上での決断だった可能性もある。チームは最終的には5位に終わったが、一時はCS争いに加わり、観客動員も順調に増え、来季の万年Bクラス脱却へ手応えをつかんだ。さらに上へ行くためには、戦力の整理、思い切った改革が必要だったのかもしれない。球団にとっても苦渋の決断だったのだろう。

 戦力外となった12選手の多くはトライアウトを受ける予定。もし引き取り手がいなかった場合、球団は若い選手たちが路頭に迷わないよう、新たなポストを用意していることを願いたい。担当スカウトや学校側のケア、そしてチームの判断が正しかったと示すような成績を残すことが球団の義務になる。また、北方をはじめとした若き選手には明るい未来が待っていることも祈りたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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