ア・リーグ優勝決定Sは必見の好カード 青木宣親は「ロイヤルズ上位打線の鍵」

レフトとセンターは1対1、そしてライトの青木は……

 そしてライトではオリオールズのニック・マーケイキスとロイヤルズの青木が比較されている。

 地区シリーズ最終戦で3安打「猛打賞」と活躍した青木について特集では「カンザスシティの上位打線の鍵となっている。地区シリーズでもチームにとっては大きな守備面での好プレーを決めている」とし、エンゼルス戦との初戦で2度のスーパーキャッチを見せたことも評価している。

 一方で、マーケイキスについても「過去9シーズンで8度も147試合以上に出場するなど頼れる存在だ。2桁本塁打と高い打率も残している」と伝え、今季レギュラーシーズン155試合出場で打率2割7分6厘、14本塁打と打撃面での貢献を評価。

 結果、キャリア豊富なマーケイキスを優位としているが、青木も地区シリーズ3連戦で12打席4安打1打点2得点、打率3割3分3厘と絶好調なだけに、前評判を覆す活躍を期待したい。

 外野は2対1でオリオールズ優位とされる一方、指名打者の対決でも今季のホームラン王、ネルソン・クルーズを擁するオリオールズが“圧勝”している。レギュラーシーズンで40本塁打を放ったスラッガーは、地区シリーズでも2本塁打。特集では「パワーの面において恐るべきシーズンは続いている。このラインナップで最も脅威の存在」と分析している。一方、ロイヤルズのビリー・バトラーについては「スロースタートだったが、堅実なシーズンを送った」と特筆せずに終わっている。

 さらに比較されているのは「監督」、「先発」、「ブルペン」、そして「ベンチ」だ。

 監督部門は絶妙な継投を見せているオリオールズの戦術家、バック・ショーウォーター監督に軍配を上げている。

 一方で先発投手はロイヤルズ有利としている。ロイヤルズはドミニカ出身のスーパールーキーのヨルダノ・ベンチュラがイニングを重ねるごとに勢いを増し、ジェレミー・ガスリーとジェイソン・バルガスも手堅いピッチングを続けている。とりわけ、特集で評価しているのは、生来の勝負強さから「ビッグ・ゲーム・ジェームス」の異名を持つジェームス・シールズ。「カンザスのチームの雰囲気を一変させた」と称賛している。

 対するオリオールズについては「絶対的なエースと呼べる存在はいない」としている。クリス・ティルマンはレギュラーシーズンの防御率3・34と安定感があり、タイガースとの地区シリーズではバド・ノリスとともに好投を見せたが、ロイヤルズ有利だという。

 ブルペンは、ウェイド・デービス、ケルビン・ヘレーラ、デレク・ホランドの豪腕トリオに加え、左腕のブランドン・フィネガンという超新星がポストシーズンで躍動しているロイヤルズに軍配が上がっている。オリオールズのアンドリュー・ミラー、ダレン・オデイ、守護神ザック・ブリットンも印象的な仕事を続けているが、ピッチング部門はいずれもロイヤルズが制している。

 そして特集でロイヤルズ躍進の源として言及しているのが「ベンチ」だ。「なぜ優勝決定戦にロイヤルズが出られたのか? 勝負強い打撃もそうだ。ダイナミックなブルペンも信頼に値する。だが、ア・リーグ最強のエンゼルス相手に実証したのはスピードだ」と指摘。終盤のチャンスで代走として登場するテレンス・ゴアとジャロッド・ダイソンの韋駄天ぶりを高く評価し、「今年のポストシーズンで最も違いを作っている2人」と絶賛している。ロイヤルズはデルモン・ヤングの長打力とベテランのケリー・ジョンソンの経験値で対抗するが、控え選手の貢献度ではロイヤルズが“圧勝”している。

 14部門の結果は7対7の互角。個々の力を比べると、実に興味深い対戦であることが分かる。守備はいずれもハイレベル。打撃面の破壊力を持つオリオールズに対し、投手陣が充実するロイヤルズ。そこにロイヤルズの持つ衝撃的なスピードという武器が加味されると、どうなるのか。熱戦への期待が高まっている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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