専門家から見るCSファーストステージの展望 阪神&オリックスが優位な理由

オリックスにとって大きなアドバンテージとなる金子の存在

 一方、オリックスと日本ハムが対戦するパ・リーグはどうだろうか。

「パ・リーグは、初戦にオリックスが金子、日本ハムは大谷が先発すると思います。セ・リーグのところでも言いましたが、CSファーストステージは、3試合で先に2勝した方が勝ち抜けです。過去にも、初戦を落としてセカンドステージに行った例は1回しかありません。当たり前の話になりますが、初戦を取った方が圧倒的に有利です。そういう意味で、金子を擁するオリックスがかなり有利になると思います」

 過去7年の歴史を見ても、クライマックスシリーズで初戦を落としてセカンドステージへ進出したのは、2009年の中日しか例がない。今季16勝5敗、防御率1.98という圧倒的な成績を残した、絶対的エース・金子千尋の存在は、オリックスにとって大きなアドバンテージになる。日本ハムの先発が予想される大谷翔平も、11勝4敗、防御率2.61と高卒2年目の選手とは思えないピッチングを続けているが、プレッシャーという重荷にどれだけ耐えられるのかがカギになりそうだ。

「オリックスは、リーグ終盤戦でソフトバンクと熾烈な優勝争いをしました。結果的にソフトバンクもオリックスも勝ち星を伸ばせませんでしたが、そこでの経験は間違いなくプラスに働くと思います。リーグ戦と異なり、短期決戦は負けたら終わり。オリックスにとっては、上手く開き直って戦えると思いますし、それだけの経験を積みました。

 逆に日本ハムは、ほぼノープレッシャーのまま3位に落ち着いたので、強い緊張感の中で戦う経験が不足しています。さらに言うと、大谷しか安心して任せられる先発投手がいませんから、若い大谷に大きな負担が掛かります。逆に言えば、ここで大谷が良い投球を見せられたら、彼が本当の意味で大エースへ成長する第一歩になると思います」

 それでは、総合的なチーム力はどう判断しているのか。

「お互いに打線がそれほど強いわけじゃありませんし、投手力をベースとしたディフェンス中心のチーム作りをしています。ただ、オリックスも西は後半戦ほとんど勝てていませんし、抑えの平野も9月以降、救援失敗が目に付きました。オリックスに関しては、リリーフ陣の大健闘で先発を支えてきましたが、彼らにも疲れが見えています。この短いオフ期間で、どれだけリフレッシュ出来ているかが重要ですね。

 日本ハムも、2桁勝利した投手が大谷しかいませんし、こちらもリリーフ陣に掛かる負担は大きくなるでしょう。宮西、増井、クロッタらの安定感は高いので、早め早めの継投というのも見られるかもしれません。

 ただ、どちらにしても今季のオリックスは強い重圧の中で戦いを続け、大きな経験をチームとして積み重ねました。間違いなく大きな経験だと思いますし、順当にいけば、オリックスが勝ち抜けると思います」

【了】

飯田哲也プロフィール

スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
飯田哲也オフィシャルブログ

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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