大谷翔平のストレートはどこまで進化するのか 投手コーチも舌を巻く、その底知れぬ可能性

プロ野球公式戦タイの162キロも、まだまだ発展途上にある大谷のストレート

 日本ハムの大谷翔平投手。希代の二刀流戦士が紡ぎ出す「豪腕伝説」は始まったばかりだ。

 10月5日のリーグ最終戦・楽天戦。その先発マウンドに登ると、金字塔を打ち立てた。シーズン日本人最速を1キロ更新。プロ野球公式戦タイ記録となる162キロをマークした。しかもこの試合で計4度もその数字を電光掲示板に表示させた。

 6日後のCS(クライマックスシリーズ)ファーストステージ初戦のオリックス戦での先発を見越し、限定2イニングでの調整登板だったため、スタートからギアをトップに入れていた。

「初回から、しっかりと腕を振ることができました」

 裏を返せば、いつでも160キロ超えは可能ということだ。

 今シーズン、同じようなシチュエーションが1度だけあった。それは7月19日のオールスター。この日はパ・リーグの先発として限定1イニングでの登板だった。

 全力投球が解禁される投球回数。ましてや、球宴舞台。もちろん勝敗は大事だ。それでもファンを魅了するためのパフォーマンスが唯一、許される場と言っても過言ではないだろう。自らも「持ち味」とよく口にしてきたスピードボール。ここでも162キロを2度、計測した。

 大谷の160キロ超え――。今では当たり前になりつつある。それでもバットに当てられる。時には前にはじき返され、ヒットにもされる。相手もプロ。そう言ってしまえば、おしまいだ。だが、弱冠20歳の若者。その直球は、まだまだ発展途上にある。だからこそ、期待は膨らむ。そしてそこに大谷の持つさらなる可能性が凝縮されている。

 分かっていても打てないストレート。過去、そのように形容されたボールを武器とした投手は何人かいた。怪物・江川。魂のストッパー・津田。虎の守護神・藤川……etc。誰もがその力強く、糸を引くようなラインに魅了されてきた。ホームランが打者の華なら、他を圧倒する剛速球は投手の華だろう。

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