高校生のドラフト指名はどの程度戦力につながっているのか 高校生指名のリスクとメリットとは

「高校生は当たれば大きな活躍が見込める」という認識は妥当

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ドラフト指名選手の出身別通算打席・投球回(96~06年 合算)

 1996年から2006年までの数字を合算して、同じグラフをつくってみる。

 投手は選手層のメインが「社会人」「大学生」であることがより明確になる。しかし、1000投球回を超えるようなローテーションクラスの投手は「高校生」からもよく生まれていることもわかる。

 野手は、選手層をつくる上でも「高校生」もかなり重要な獲得先になっているようだ。

 ただし、指名された選手の数は194人とずば抜けて多く、その中で1打席も打席に立てなかった(立てていない)選手は58人で約30%もいる。「社会人」の86人対し10人(約12%)、大学生の139人対し14人(約10%)と比べてもかなり差がある数字だ。打撃に関する能力を高校生の段階で見抜くのは、やはり難しいと見られる。

 一方で、投手と同じような傾向として、4000打席を超えるクラスの選手の数では「高校生」はメインの供給源になっている。当たりはずれはあるが、当たれば大きな活躍が見込めるのが「高校生」であるという認識は妥当なようだ。

 実際のドラフトで、年齢構成的に戦力のピークが近く、すぐに結果を求めたい局面のチーム、低迷が続き戦力の頭数を整えなければいけないチームが「社会人」「大学生」を優先して指名するのは理解できる。

 ただ、即戦力という評価に偏りすぎて、将来への投資を疎かにすることもできない。広くドラフトで指名されている高校生の中には、レギュラーとしてチームの核となれる才能が十分な数含まれている。確実性は低くとも、中長期的に一定数の高校生を指名し、その中から着実に“当たり”を引く割合を高めていこうとする姿勢は、他チームに差をつける上でとても重要だと思われる。

【了】

DELTA プロフィール

DELTA http://www.deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート3』が4月5日に発売。

DELTA・岡田友輔・秋山健一郎●文 text by DELTA OKADA,Y. AKIYAMA,K.

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