23日に迎える運命のドラフト会議 育成か即戦力か、各球団の思惑は?

大半の球団が投手を軸とした指名が予想される

【セ・リーグ】

○読売ジャイアンツ

 昨年は社会人の捕手・小林誠司を指名した。ただ、毎年、即戦力投手を軸にドラフト戦略を練っており、今年もCS最終Sで先発陣が崩れたため、シーズンを通じて計算できる大学・社会人投手がほしいところ。しかし、菅野、内海、杉内、大竹、澤村、小山、外国人……と数はいる。そのため、他の球団が即戦力投手を狙っていく一方で、高校のスラッガー・智弁学園の岡本和真を将来の4番候補として獲得する可能性も浮上している。

○阪神タイガース

 昨年は左腕の大学生・岩貞を指名した。阪神も即戦力投手を指名する方向で、早大・有原、済美の安楽を軸に当日に絞り込んでいく。また、志望届提出で話題になった京大初のプロ野球選手誕生を目指す頭脳派・田中英祐もリストアップしており、ひとまわりが終わったあたりで名前が挙がってくる可能性がある。また、中大の島袋洋奨投手の指名も検討。興南高(沖縄)時代に春夏連覇した左腕で、甲子園を沸かせた度胸と潜在能力については評価が高いが、コントロールに苦しみ、大学4時は四球で自滅する試合が多かった。そのため評価も二分。ただ、プロの指導を受ければ修正できるという意見もあり、プロ入りでまたさらなる才能の開花もあり得る。

○広島カープ

 ドラフトの目玉である早稲田大の有原は広島・広陵の出身。地元選手を逃すわけにはいかないと早々と「有原にいく」と宣言。昨年、3球団競合の末に獲得した九州共立大の大瀬良同様にクジで引き当てる方針。これまでも即戦力投手中心の上位指名だった。黒田の復帰も毎年のように期待されており、そこに有原も加われば、さらに強固な投手陣が形成されることになるだろう。

○中日ドラゴンズ

 昨年は育成を目的に高校生を1位指名。聖隷クリストファーの鈴木を獲得した。しかし今年は下位に沈んだチーム状況から即戦力投手を指名する見通し。明治大の左腕・山崎や亜細亜大の山崎と両山崎に照準を合わせていく。もし、即戦力投手が指名できなければ、捕手の指名に切り替える狙いもある。ただ、昨年、四国アイランドリーグから又吉を指名し成功するなど、独自のルートもあるため、スカウト陣からは「中日は他とは違う面白いドラフトをしてくる可能性がある」との声が上がっている。

○横浜DeNAベイスターズ

 今季終盤、久保、井納、山口、モスコーソと安定した先発陣。ここに左腕の即戦力がほしいところだ。社会人の新日鉄住金鹿島の横山、ヤマハの竹下、九州産業大の浜田智博らに視線が向けられる。だが、一方でパンチのある打者の野手強化も狙っており、中畑監督の後輩・駒大の外野手・江越大賀、地元横浜高校出身で創価大―日本新薬と進んだ内野手の倉本寿彦も上位リストに挙がっている。

○ヤクルトスワローズ

 今年は最下位に低迷したヤクルトはまず真っ先にほしいのは即戦力投手。早稲田大の有原、済美の安楽のどちらかが1位になるだろう。有原は神宮を沸かせた右腕。安楽もキャンプを張る松山のある愛媛出身とチームに合っている。また抽選で外れた場合の外れ1位としては、ヤマハの竹下を高く評価している。2位の指名順は最下位だったヤクルトが最初になるため、13番目の選手の獲得にも注目が集まる。基本的には投手を指名する方針を明かしている。

 それぞれ「育成型」「即戦力型」に分かれているものの、ほとんどが投手を軸に考えていることが分かる。上記に名前は挙がっていないが、育成型の横浜高・浅間大基外野手、即戦力型の法政大の左腕・石田健大投手、同じく三菱日立パワーシステムズの福地元春、野村亮介両投手も1位候補。当日、スカウト会場に入れば、メディアの情報も入ってくる。各球団とも様々なシミュレーションを経て、午後5時前に最終決定となる。今年はどんなドラマが待っているだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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