今も語り継がれる、イチローがメジャーの歴史を変えた“記念日”

新人王とMVPのダブル受賞は過去2人だけ

 2001年シーズン終了後の11月12日、イチローは新人王に選出された。全米野球記者協会の投票で28人中27人の1位票を獲得。CC・サバシア投手(当時インディアンス)に1つだけ1位票が流れたが、ほぼ満場一致での栄誉だった。

 そして同20日、イチローはMVPにも輝いた。全米野球記者協会の投票では11人の1位票を獲得。本命視されていたJ・ジアンビー内野手(当時アスレチックス)は1位票が8人だった。当時、イチローの打点の少なさや出塁率の低さを指摘する声もあったが、長年、メジャーを見続けてきた記者も最後はセンセーショナルな活躍に脱帽したということだろう。

 新人王とMVPの同時受賞は1975年のフレッド・リン(レッドソックス)以来。まさに歴史的快挙だった。マリナーズとの契約からたったの1年で、スピード、高い打撃技術、圧倒的な守備力などを武器に、メジャー初の日本人野手はスーパースターとしての地位を確立したのだ。当時、パワー全盛だった米国の野球に新たな風を吹き込んだという意味でも、イチローがメジャーデビューした意味は大きかった。

 イチローは今月上旬、MLBネットワークのテレビ番組に出演し、来季もメジャーでプレーを続ける意思を明言した。現在、メジャー通算2844安打で、過去28人が達成している3000安打まであと156本。日米通算安打数は4122本で、ピート・ローズ氏の誇る歴代通算最多安打記録(4256本)まであと134本と迫っている。

 ヤンキースと再契約する可能性は極めて低くなっているが、日米両国のメディアでは、すでにイチロー獲得に興味を示す複数の球団名が挙がっている。メジャーデビューから14年が経過しても、偉大な安打製造機を必要とする球団はまだまだある。来季はどのユニホームを着て、野球界に新たな歴史を刻むのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY