工藤新監督も見守る北方悠誠 ソフトバンクで158キロ剛腕復活なるか

戦力外からの復活を期す20歳「早い時期に来たので切り替えられた」

 生き残った。ソフトバンクは22日、横浜DeNAを今季限りで戦力外となり、テスト生として秋季キャンプに参加していた北方悠誠投手(20)と、育成選手契約を結んだことを発表した。11年のドラフト1位で横浜(現DeNA)に入団しながら、わずか3年でプロのキャリアの危機に立たされたが、崖っぷちのところで地元・九州のソフトバンクに拾われた。

 北方といえば、唐津商高時代から剛腕として、世に知られた存在だった。3年の夏には、佐賀県大会の準々決勝で延長15回を完投。翌日に行われた再試合でも完投し、大会通じて57回888球を投げて、チームを甲子園に導いた。全国の舞台でも、作新学院との2回戦で敗退したものの、この試合で153キロをマーク。その名をとどろかせた。

 プロ入り後も、150キロ台の真っすぐを連発。1軍登板こそなかったが、プロ2年目の13年に参加した台湾でのウインターリーグでは、自己最速となる158キロをマークした。一時は、横浜DeNAの中畑清監督が、クローザー候補として期待を寄せるほどだった。

 事態が暗転したのは、今季に入ってからだ。フォームが定まらず、制球難に陥った。コントロールを安定させようと、サイドスローに活路を見出そうとしたが、これが、悪循環に輪をかけた。最大の武器だった球速までもが落ち、ついには、130キロ台まで低下した。わずか1か月で、オーバースローに戻したが、フォームは崩れ、球速も戻らず、その先に非情な通告が待っていた。

「よくよく考えれば、(戦力外通告は)野球選手の大半に来ること。早い時期に来たので、切り替えられた」

 合同トライアウトでは、最速138キロ。参加した秋季キャンプでも、参加4日目の13日に、視察の訪れた工藤新監督の御前で、初めてブルペン入りしたが、34球中27球がボールと、荒れに荒れた。

 それでも、ソフトバンクが育成選手での獲得を決めたのは、球速が戻れば、復活出来るとの目論見があったから。元々、最速158キロのストレートを投げるだけの馬力がある。肩のスタミナもある。北方自身、「若さを出していきたい。いまアピール出来るのは、体が元気だというところ」と話す通り、肩、肘に不安もない。球速というのは、天賦の才だ。安定したフォームを身に着け、コントロールが安定すれば、という可能性に賭けたのだろう。

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