岩隈所属のマリナーズ、プレーオフ進出へ“最後のピース” クルーズとの大型契約に合意

イチロー以来の地区制覇なるか

 岩隈久志投手の所属するマリナーズが、イチロー外野手が在籍していた2001年以来となるプレーオフ進出に向けて大物補強に成功した。オリオールズからフリーエージェント(FA)となっていた今年の本塁打王、ネルソン・クルーズ外野手と4年総額5700万ドル(約67億4000万円)の大型契約に合意したと、ESPNなど複数の米メディアが報じた。

 これまで3度オールスターに選出されたスラッガーは今季、打率2割7割1分、40本塁打、108打点。ア・リーグ本塁打王に輝き、オリオールズの東地区制覇にも大きく貢献した。

 今季はアスレチックスとわずか1ゲーム差でワイルドカードでのプレーオフ進出を逃したマリナーズ。弱点は長打力だった。ア・リーグ15球団中12位の634得点という貧打で、岩隈や「キング」ことフェリックス・ヘルナンデス投手の好投を見殺しにする試合も多く、右打ちの強打者が今オフの最大の補強ポイントとなっていた。クルーズは4番に座り、同じドミニカ共和国出身で3番を打つロビンソン・カノ内野手と強力コンビを組むことになりそうだ。

 2013年に薬物規定違反で50試合出場停止となったクルーズに対し、マリナーズは昨オフにも獲得に乗り出した。だが、当時はドーピングによるダーティーなイメージを嫌うオーナーサイドの意向で白紙となっていた。今オフは獲得が実現したことで、得点力が大幅にアップすることが期待されている。34歳との4年契約はリスクも伴うが、ポイントを抑えた補強となった。

 マリナーズが強打の右打者を必要としていたため、米メディアの中ではレッドソックスのヨエニス・セスペデス外野手と岩隈のトレードの噂も報じられていた。ただ、ジャック・ズレンシックGMがクルーズの補強を成功させたことで、岩隈放出の可能性は極めて低くなったと言えそうだ。

 移籍情報サイト「MLBトレードルーマーズ」は「来年が岩隈との契約最終年であることから、プレーオフ進出に重要」と分析。シーズン終了後にFAとなる岩隈が来季も例年通りのピッチングを見せた場合、争奪戦に発展し、移籍となる可能性は高い。岩隈とマリナーズにとって悲願のポストシーズン進出に向け、“最後のワンピース”を手にしたことになる。

 2001年はイチローがMVPと新人王に輝く大活躍を見せ、メジャータイ記録となるシーズン116勝を挙げて地区制覇を果たした。その時以来となる旋風を巻き起こせるか。クルーズはレンジャーズ時代からポストシーズンでの勝負強さにも定評がある。再契約を望んでいたオリオールズなど複数球団との争奪戦の末に獲得したスラッガーには、大きな期待がかかる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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